エルダー2022年11月号
65/68

https://wwwe-kts.co.jp/有限会社近藤築炉サービスTEL:03(3807)0594(撮影・福田栄夫/取材・増田忠英)とほかの耐火材との相性が悪かったり。そうした原因を見きわめて、お客さまに炉を長持ちさせるための改善策を提案することもあります。また、炉の仕上がりの美しさも重要です。例えば、同心円状に積んだレンガがきれいに同心円になっているか。もし出っ張っているところがあれば、そこは火のあたりが強くなり、トラブルの原因になりかねません」故障で緊急修理が必要なときは、現場の状況に基づいた迅速かつ的確な判断が求められる。そんなときほど、近藤さんの知識と経験が頼りにされているようだ。近藤さんは、10代のころから「父や職人さんたちがレンガをきれいに積み上げるのを見るのが好きだった」という。仕事を継ぐのに役立つだろうと大学で熱工学を専攻し、卒業後は耐火材メーカーに就職した。3年後に家業を継いで以来、さまざまな現場を経験し、技術の引き出しを増やしてきた。現在も、新たな領域に対応すべく貪欲に学んでいる。「現在の熱源は石油燃料が主流ですが、今後は水素燃料やバイオ燃料が増える可能性があります。地球温暖化防止の観点からも、新たな熱源の勉強をして、今後の築炉に役立てていこうと思います」「身につけた技術を伝えたい」と後進育成にも注力。他社の社員や海外の技術者にも指導を行っている。今後は、若い世代に興味を持ってもらうことや、自社の後継者育成を目ざしている。「ものづくりが好きな人なら、この仕事は楽しいはず」と話す近藤さん自身が、「好きこそものの上手なれ」を体現しているように感じられた。新たな熱源に対応できる築炉の技術習得を目ざす.63事務所の入口は、築炉の技能を象徴するレンガ造り40年以上の功績が認められ「東京マイスター」として東京都知事賞を受章工房の一角。道具を使いやすいように自ら加工したり補修することも多い築炉に使うレンガゴテや目地ごてなどの道具類築炉を手がけたアルミ溶解回転炉。61頁の写真はこの内部の様子レンガにモルタルを均等に塗り、平らに積むことにも熟練が求められるエルダー vol.321

元のページ  ../index.html#65

このブックを見る