エルダー2022年12月号
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でしょう。学び直しというものが本来的には、※1 VUCAの時代……Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を組み合わせたもので、「将来の社員一人ひとりが主体的に考えるべきものであるのに、実際に「行動」を起こしているシニアは、まだ少数派が現状です。「定年直前・直後に慌てて、次のことを考える」といった人々の方が多いように思われます。に学び直しに取り組んでいないのでしょうか。壊の前の時代を知っている世代、すなわち企業と社員がともに手をたずさえて成長の階段を駆け上がっていく喜びを知っている世代です。「会社」というものが生活のなかで大きな位置を占め、ともすると「会社についていけば何とかなる」という期待がまだ心に刻印されている世代だと思います。での「企業が主語」のみで考えるのではなく、「社員自らが主体的にキャリアを考え、キャリア形成を図る」ことで、自分の能力、可能性に向き合い、仕事や会社に改めて向き合わなくてはなりません。これを実現するため、今後は「社員」と「会社」が協力して、学び直しに取り組んでいくべきではないでしょうか。■企業、社員双方の意識改革の必要性①社員の意識改革学ぶ当事者は社員なのですから、社員自らがそではなぜ、いまのミドル・シニア層が主体的現在のミドル・シニア層の多くは、バブル崩しかしこれからは、「キャリア形成」をこれま前述のように、企業が学び直しを推進しても、ょん■シニア層の企業内での状況①これまでのシニア層これまでは、ミドル層が会社の出世競争の分水嶺であるとすれば、シニア層は、その決着がすでについてしまい、一部の幹部層以外は、専門職などで会社や職場で居場所を確保していく人と、会社にぶら下がるような形で定年を迎える人に分かれるというのが一般的な有り様でした。それは、社内に波風を立てずに新陳代謝を進めていく非常に賢い合理的な姿であったともいえましょうし、「失われた30年」といわれようとも、何とか企業収益を確保してきて、そうした余裕が企業側にもあったことを示しています。その結果として「働かない中高年社員問題」が話題となり、また少子高齢化の進展にともなって、「このままでは済まない」、「変えなければいけない」といった気運が、もちろん企業ごとに濃淡はあるのでしょうが、いま、出現し始めているのではないでしょうか。役職定年制というものが広く普及する現在の日本企業では、肩書きだけで仕事をすることが許されない状況に置かれているシニア層自身も、「人生100年時代」のかけ声に動かされるように、徐々に変わっていく、まさにいまの状況はそうした過渡期に差しかかっているといってよいでしょう。■企業主導の学び直しが根づかなかった②これからのシニア層これからのシニア層に対して企業は、これまで以上に「人的資本」という考え方で向き合う必要があります。少子高齢化の進展で、過去のさまざまな経験を持つ正に貴重な「人的資本」であるシニア層を有効活用することが、企業にとっても、社会にとっても非常に重要なことだからです。それも、単に過去の成功体験やスキルをそのまま活用するということではなく、「学び直し」により、「VUブCーAカの時代」※1といわれるような変化の激しい時代にも適応したスキルを身につけることによって会社に貢献すること、そしてそれはもちろん人生100年時代を生き抜く本人のキャリア形成にもつながります。学び直しに取り組みミドル・シニア層を活性化することは、企業にとっても、ミドル・シニア層にとってもメリットのある「一挙両得」のものであるはずなのです。基本構造学び直しが企業にとっても社会全体にとっても重要であることは、少子高齢化の時代には自明のことであるにもかかわらず、「学び直し」は、まだまだ端た緒しについた段階といわざるを得ない予測が困難で不確実性の高い時代」をあらわす言葉12ここれれままでで「「学学びび直直しし」」がが進進んんででここななかかっったた理理由由ととブブレレーーククススルルーーのの方方法法

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