エルダー2022年12月号
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されるものだからです(以下のプロセスは主にスキルが中心です)。①ミドル・シニア層の意識改革をうながし、「キャリアの棚卸」の手法を学ぶ研修などの実施②キャリアの棚卸、キャリア形成支援を人事面談のなかに組み込む(「1on1ミーティング」などの一環)③社員自らが、キャリア形成、学び直しを主体的に実行していく支援制度の創設支援策の具体例としては、・社外カウンセラーの導入によるキャリアカウンセリング受講制度の創設・SNS、プロボノ※2、地域活動、ボランティア活動、社外勉強会などによって社外との交流を深めている好事例の紹介、費用の一部支援・社会人大学院、通信講座の受講に関する費用補助、時間確保などの支援やインターネット上の無料講座(MOOC※3)などの紹介・資格取得ほか、自己啓発学習への補助・副業従事の奨励、時間確保などの支援などがあります。ミドル・シニア層のキャリア形成に関する企業による取組みは、まさにこれからスタートするという局面です。「ミドル・シニア層の学び直し、キャリア形成を企業が支援することによって、ミドル・シニア層が活性化し、それによって職場も活性化し、社員の会社へのエンゲージメントが高まる」、「ミドル・シニアがキャリアに関する意識を変え、主体的に学び直しを行うことは十分可能」といったことに対して懐疑的な方々も多いように思います。「そもそも、ミドル・シニアなんて、扱いがむずかしくて、学び直しなんて﹃夢のまた夢﹄、無理なことにお金をかけても意味がない」と感じる方々の気持ちも、よく理解できます。ただ、筆者は、「ミドル・シニア層のキャリア形成、学び直しは十分可能である」と考えます。なぜなら、筆者自身が、45歳というミドル世代の真っ只中で最初の転職を経験し、計10回の転職の過程で、さまざまなことを経験しスキルを身につけていき、その成果として公募で「大学教授」になることもでき、いまは人財育成や経営改革・イノベーションを支援する経営コンサルティングを行っているからです。ビジネスライフにおける成功・失敗といったことはさておき、ミドル・シニア時期の20年以上の間学び続け、行きつ戻りつしながらもキャリア形成を果たしてきました。筆者が特別な才能を持っていたわけではありませんし、45歳までは目先の業務に忙殺されていて真剣にキャリア形成について考えていたわけではない、平凡なビジネスパーソンだったと思います。に「学び続けて」来られたのですし、いまも学ぶことを止めていないつもりです。40代半ばの意識改革があって、いまの自分があるのだと痛感します。企業経営者、人材育成担当者の方々には声を大にして再び強調したいと思います。「人はみんな、学ばなければならないと気づけば、自然と学び続けるようになるのだ」と。日本中どこにでも飛んでいって筆者の具体的な経験をお話ししたいと思います。としての価値、可能性に気づき、行動を起こして自らの価値を上げ、そのことによって会社が栄え、日本全体が栄える、そんな未来になることを期待してやみません。そんな筆者でも、ミドル・シニアの時代、常本稿を読んでいただいたビジネスパーソン、筆者の言葉が信じられない方々に対しては、社員一人ひとりが、自分のビジネスパーソン※2 プロボノ……職業上持っている知識やスキルを活かして行うボランティア活動のこと※3 MOOC……MassiveOpenOnlineCourseの略で、オンラインを通じて教育機関が提供する講座を受講できる仕組みのこと2022.1214 おおわわりりにに

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