エルダー2022年12月号
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と異なり、会社側で基本的に自由に設計できる性格を有しているため、「学び直しを目的とした制度」とすることもできます。ここで、事例を二つご紹介します※3。従業員の資格取得を後押しする休暇 [高齢者施設の開業・運営コンサルティング業]会社が定める資格の取得に向けた準備を目的として、年間に有給で最大10日間取得できる特別休暇制度を設けています。1年目に不合格となり、2年目以降に再チャレンジする場合でも特別休暇が取得できます。また、試験に合格して資格を取得した従業員には、報奨金を支給しています。休暇を取得するタイミングとしては、試験直前期が多い状況です。●事例2 自己啓発休暇[製本業]「仕事の質をあげるために、研修や学習の機会がほしい」という社員の声を反映したものです。休暇取得日数の制限は、自己啓発内容に応じて社内で調整することとしています。この制度は、「人間的能力を高め、創造力や実行力を養うことを目的とした投資の休暇制度」と位置づけています。取得例としては、就業後に大学院で経済動向をふまえた労働環境と社会制度の研究をしていた従業員が、自己啓発休暇を取得し、アメリカ、ドイツ、フランスへ労働および社会制度を研究しに行くケースがありました。時間外労働を削減することにより、就業時間後に学び直しの時間を確保することができます。また、過重労働の抑制やワーク・ライフ・バランスの推進にもつながります。時間外労働を削減するために、具体的には、次の内容を進めることが有効です。①トップの方針トップが、時間外労働削減を経営方針に掲げ、社員に周知徹底することが有効です。トップが会社の方針として、遅くまで残っていることを明確に否定し、所定労働時間内に業務を完遂する社員を評価する旨を伝えます。また、方針には、「早く帰宅し、家族との団らんや学び直しなどの時間にあててください」とし、学び直しについても触れるとよいでしょう。②人事部時間外労働に関して現状把握をします。具体的には、全従業員の労働時間数をエクセルなどのソフトで集計し、現在どこに問題が生じているのか詳細に分析することが有効です。図表1・2は、問題部署および問題社員の把握例です。問題部署については、時間外労働が多い部署に焦点をあてて、いかにその部署に内在している問題点を顕在化して時間外労働を削減するかが重要です。削減を図る必要があります。「特定の社員に仕事が集中していないか」などの確認を行い、必要に応じて是正を図ります。実際には、意外な社員が長時間労働しているなど、人事部の担当者が驚くこともありました。ぜひ、みなさんの会社でも実施してみてください。③職場き、実際に時間外労働削減に取り組むのは、各職場になります。事例※4です。ほかの業種でも応用できると思いますので、参考にしてください。●事例1 〔食料品製造業〕間外労働申請書」を管理職に提出。管理職は、残業内容を確認し、残業をしてでも実施する必要のある業務であるかどうかを判断して、不要と判断すれば、翌日に回すよう指導します。業予定時間」、「残業内容」などを記入します。管理職は、申請書があがってきた機会をとらえて、部下の業務の内容や進捗状況を把握し、コミュニケーションを図るようにしています。●事例2 〔飲食業(ファミリーレストラン)〕り込むとともに、パート・アルバイトに可能なかまた、個人レベルまで落として、時間外労働トップによる時間外労働削減の方針に基づ次に示すのは、各職場での時間外労働の削減従業員は、残業を行う場合に、毎日事前に「時この申請フォームには、「残業申請理由」、「残店長業務のように正社員しかできない業務を絞●事例1 実実務務上上ののポポイインントト②②※3 厚生労働省「働き方・休み方改善ポータルサイト 特別な休暇制度導入事例」https://work-holiday.mhlw.go.jp/※4 厚生労働省「時間外労働削減の好事例集」https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kinrou/120703_01.html16時時間間外外労労働働のの抑抑制制

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