エルダー2022年12月号
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そのための学び直しの制度を導入する場合は、かなりていねいに行っていかなければいけないと考えています。そのためには社員個人個人が、自分の専門性や強みに気づけるように、経験やスキルの棚卸しによる『自己理解』を、時間をかけてきちんと行うことが大切と考えます」(丸山取締役)とアドバイスする。社員のキャリア自律をうながすことで生まれる、独立や転職を招くリスクも気になるところだ。「多様な価値観を持つ社員が増えてきており、世の中の流れとして、人材の流動化は、今後も進んでいくと想定しています。だからこそ、企業はより魅力的な組織づくりが必要であり、社外に出ていろいろな経験をした社員と双日グループが、双日アルムナイなどを通じてゆるやかな関係を築ける仕組みづくりを行っています」(丸山取締役)定年年齢を双日と同じ60歳ではなく、70歳とつだ。シニア社員にとってのSPSの意味合いについて、「人生100年時代といわれており、細く長くという働き方も選択肢になると考えています。勤務日数や勤務時間の自由度が高く、体力や気力に応じた働き方ができるのは、シニア社員にとって大きなメリットです。体力や気力があるうちは、いろいろな仕事を組み合わせて働くことで、収入面もカバーできます。一時的に収入が下がったとしても、70歳まで働くことで、生涯年収で考えれば、60歳定年を上回ることもあります。細く長く働く選択肢があることを、社内でも伝えていきたい」(丸山取締役)と話す。SPSや双日アルムナイなどで形づくる、双日のゆるやかなグループ連携が、具体的にどのように双日に役立つのだろうか。「いままでは、会社に入って、そのまま定年までをまっとうするという考え方が一般的でした。しかし最近は、自分の成長につながる、成長機会があるのかどうかに価値を置く人が多くなっていると感じています。転職に抵抗がなくなるなど、価値観が大きく変わってきています。このような変化に対応するうえでは、会社に残りつつも、外部で挑戦できるという選択肢を示す仕組みをつくることには大きな意味があると思います。 双日は現中期経営計画において、『事業と人材を創造し続ける総合商社』を掲げています。双日を離れることがあったとしても縁が切れるということではなく、双日のDNAを持った人材が世の中に出て、『共創』と『共有』という形でゆるやかに広がるようなイメージです」(丸山取締役)実際に、SPSや双日アルムナイなどの新しい取組みが、双日の活性化につながっているという実感は得られているのだろうか。「双日の管理職研修など、いろいろな場面で『SPS』を取り上げてもらうようになり、社内での知名度も徐々に上がってきており、SPSを活用しようという話も出るようになりました。SPSの機能が少しずつ認知されてきており、双日の組織活性化ということでは、これから目に見えてくるのだろうと思います。社員の受けとめ方も、変わりつつあります。相談件数も増えてきています」(丸山取締役)と、効果を感じつつあるところのようだ。社員の能力やプロフェッショナルスキルを広く社会とシェアをすることは、社会にとってもメリットがあり、双日にとっても双日以外の仕事でつちかった経験などを双日に還元してもらうことで『社会に還元する価値』と『双日が得る価値』の二つの価値の実現につながります。当然、本人にとっても、自分が目ざす働き方・生き方を実現できるという大きなメリットがあるという、WinーWinの形を目ざしていきたい」と力強く語ってくれた。最後に丸山取締役はSPSについて、「双日2022.122210歳も延長していることもSPSの特徴の一人人生生110000年年時時代代にに向向けけ細細くく長長くく働働くくたためめのの仕仕掛掛けけがが必必要要

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