エルダー2022年12月号
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若林当社では、2000(平成12)年に一般社員向けの「選択定年延長制度」と幹部社員向けの「再雇用制度」を導入し、2006年に選択定年延長制度の見直しを行いました。選択定年延長制度導入当初は、55歳時に60歳・65歳の二択で定年を選択する制度でしたが、2006年からは定年を60〜65歳の各年齢で選択できるようにするとともに、55歳時に制度説明、57歳時に定年年齢を選択、59歳時に最終確認という3段階方式とし、社員個々の事情を反映しやすい制度としました。また、幹部社員向けの再雇用制度については、定年60歳を原則とし、定年前の「役割グタスクレベルに応じた処遇の見直しで高齢社員の働く意欲が向上レード」に基づいて再雇用を行う仕組みで、2000年以来制度を運用してきました。定年前の役割グレードは1〜10のグレードに分かれており、再雇用でA・B・Cの3コースに分かれます。Aコースはライン職にとどまり62歳まで定年延長され、処遇は以前のグレードの報酬が100%保障されます。Bコースはグレード3〜10の人が対象、Cコースはグレード1・2の人が対象で、それぞれ、業務・役割に応じて処遇の見直しを行うというものでした。なお、Aコースの社員は、62歳を上限年齢とし、その後は再雇用となってBコースに移ります。Bコースの社員は、老齢厚生年金の支給開始年齢になると自動的にCコースに移るという仕組みでした。このようにかねてから一般社員向け、幹部社員向けの二つの制度で高齢者雇用に取り組んできたのですが、2020年に制度の見直しを行ったのです。若林 は、本人の意欲と能力に関係なく60歳時点のグレードで一律的にコースが決定し、しかも報酬が下がることが課題となっていました。また、制度が年金支給年齢とも連動しており、一定の年齢になるとコース変更で処遇が低くなることも意欲の減退につながっていました。高齢社員のなかには高いパフォーマンスを期待できる人材も当然いるわけですが、モチベーションダウンの可能性がある制度設計となっていたのです。実際に私も「処遇が一律に下がることで意欲がなくなる」という声を多く聞きました。そこで、高いパフォーマンスを発揮する人には、60歳以降も仕事の価値や難易度に応じて処遇にメリハリをつける必要性があったのです。  の再雇用制度「シニアタスク制度」は、従来と同様、ライン職継続者は62歳まで定年延長することに変更はありません。変わるのはそれ以外の人材で、タスクレベルの重さをⅠ〜Ⅳの4段階に設定し、1年ごとにタスクと成果に応じて処遇の見直しを行います。例えば、レベルⅠは「本部長・事業部長の指示に基づき業務を遂行」、Ⅳは「課長の指示に基づき幹部社員を対象とした再雇用制度で2020年に新たに導入した幹部社員向け―貴社では、20年以上前から、一般社員向け、幹部社員向けの2種類の高齢者雇用制度を整備して65歳までの雇用に取り組まれてきました。2020(令和2)年に、これらの高齢者雇用制度の見直しを行ったそうですね。―見直しを行った理由とは何でしょうか。2022.122富士電機株式会社 人事・総務室 人事部長若林正倫さん

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