エルダー2022年12月号
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■■入所者とのコミュニケーションが活力に動がなるべく小さくなるように気をつけています。車に乗ってまた外へ出ようと思っていただけるように仕事をしています」と話す榧野さん。前職は、国宝・松江城のお堀を遊覧する「堀川めぐり」の船頭を務めていました。安全走行しながら、観光案内や唄を歌っていたそうです。「船頭も、いまの仕事も、お客さまの笑顔がやりがいになります。船頭の経験をこの仕事に活かせているとも感じます」(榧野さん)車いすを利用している高齢の方の通院を週3回サポートしていたとき、車内で安■来■節■を歌ったところ、それまで硬かったその方の表情がだんだんやわらぎ、話や手拍子までしてくださるようになったとのこと。「ご家族からも喜ばれました」と榧野さんは笑顔になり、「この歳で仕事をいただいていることに感謝しています。今後も事故なく、元気にがんばります。『やるぞ!』という気持ちです」と語ってくれました。清流園のポイントスタッフとして働く高橋明美さん(76歳)は、2022年2月、75歳で採用されました。理容師免許を持ち、約40年間、理髪店を経営し、いそしむかたわら、寄せ植え教室の講師をボランティアで行っていたそうです。再び仕事をしたいとハローワークへ。「70歳を過ぎて仕事を見つけるのはむずかしいと思っていたところ、清流園で働けることになりました。働きはじめてから、どんどん元気になっています」とにこやかに話します。現在は3日間働いて1〜2日休むといったペースで、勤務時間は9〜12時。施設の入所者がラジオ体操後に行う運動系のレクリエーションの支援とお茶入れ、園内放送のDJを担当しています。「園内放送は、話す内容を考え、原稿を書いてマイクの前に座ります。8人ほどで順番に行っています」(高橋さん)。高橋さんの放送回では、花を話題にすることが多く、毎回その日の花と花言葉を語り、誕生日の方へお祝いを述べて、「今日、素敵なことがありますように」といって締めくくるそうです。「最初は緊張しましたが、最近では『だいぶ上手になったね』と入所者の方にほめてもらえるようになりました。この歳でもほめてもらえるのです。みなさまにも幸せな気持ちになってもらえるよう、私もよい言葉を使うように心がけています。健康第一で、1日でも長くこの仕事を続けていたいと思っています」とすてきな笑顔で話されました。利用者の存在や言葉が、高齢職員をより元気づけていることが2人のお話から伝わってきました。佐藤プランナーは、「すばらしい働き方です」と感嘆していました。同法人では、デイサービスとショートステイ施設を2023年5月オープンに向けて、建設中です。これから多世代のスタッフが増えていく見込みのなか、中山園長は高齢職員に寄せる期待を次のように語りました。「健康で、毎日明るく和気あいあいと働いていてほしいですね。当法人としても、より働きやすい職場を目ざしこれからも取り組んでいきます」(取材・増山美智子)自宅で育てて咲いた花を清流園に飾る、ポイントスタッフの高橋明美さん39エルダー60歳で引退してからは、長年の趣味の園芸などに

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