エルダー2022年12月号
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てパートとして働くことにしました。46歳の再出発でした。入社と同時に、チョコレートなど洋菓子のセットアップ作業やお中元・お歳暮の梱包作業現場の責任者を任されました。軽い気持ちで働き始めたにもかかわらず、気がつけば四半世紀という時が流れていました。私はいま、梱包事業を分社化したオークマプラス株式会社のパート従業員です。この会社で、セットアップ作業や委託梱包作業に従事するのは全員が女性パート従業員です。現在29人が一緒に働いていますが、最高齢は勤続23年、佐々木さんは21年とそれぞれ長く働いてこられました。66歳以上の人が私を含め6人いますが、そのうち5人が勤続20年を超えています。私が今日までがんばって働き続けてこられたのは、目標とする先輩たちの背中を追いかけてきたからです。会社の定年は60歳、希望すれば全員が75歳まで継続雇用されます。特別な定期的面談といったものはなく、むしろ私たちの方から「そろそろ辞めた方がよいでしょうか」と社長に相談すると、「仕事していないと早くボケますよ」と引き止められます。とにかく職場の雰囲気が明るいので、一人で家にいるより、みんなと楽しく働きたいというのが本音かもしれません。もちろん、食品を扱っていますから、作業中はたいへん緊張します。とりわけ詰合せ作業では化粧箱に髪の毛一本でも落とさないためにだれもが気を引き締めています。緊張の時間と、みんなで楽しく過ごす和やかな時間があるからバランスが取れているのだと思います。比較的年齢層の高い職場ですが、仲間のなかには30代の若い世代もいます。仲間29人の年齢はさまざまで、子育てで悩む若い人がお弁当を食べながら人生のベテランの話に耳を傾ける光景も見られます。午前中だけの勤務や午後からの出社も可能で柔軟に働くことができます。また、いまはお歳暮や来年のバレンタインのセットアップで忙しいのですが、この仕事は閑散期があり、長く休める時期もあるので、そのことを長く働ける秘訣にあげる人もいます。さらに、突発的なことが起きたときに休みやすいようにローテーションは組んでいません。だれもがさまざまな問題を抱えていますから、いたわり合い支え合うことで働きやすい雰囲気が生まれます。うちの作業は流れ作業でなく、一つひとつ作業を分けているので効率的で、その日の目標を達成するように全員が努力し、その結果得る達成感は働く喜びにつながります。す。休みの日は夫や仲間たちと買い物に出かけるのが楽しみの一つです。鳥山さんは歩くことが大好きで近隣だけでなく都内まで足を延ばして散策しているので、ときどき案内してもらっています。は大好きです。残念ながら亡くなられましたが、瀬■戸■内■寂■聴■さんの大ファンです。作品はもとより、最後まで凛としていた生き方にも憧れます。私も寂聴さんのように背筋を伸ばして生きていければと思います。うこのごろ、明日も人よりほんの少し早く出社して、素敵な仲間たちを笑顔で迎えたいと思います。休日は人それぞれで、私は土日がお休みで特別な趣味はありませんが、本を読むこと生涯現役の人生もなかなか楽しいかなと思■■■■1日に数千個の商品を仕上げるためには、「朝の段取りが肝心だ」と小須賀さん。少し早めに出勤する習慣はいまも変わっていない。同僚たちは、小須賀さんに全幅の信頼を寄せている。就業時間は9時30分から16時。昼休みには食堂に全員が集う。「昼休みが長いと食事の後眠くなるから45分がベスト」という説に妙に納得させられた。目標の先輩たちがいる喜びいたわり合い支え合うこと73歳の佐々木千代さんがいます。鳥山さんは74歳の鳥山かつ子さん、もう一人私の上には■高齢者に聞く41エルダー

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