エルダー2022年12月号
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累計により決定される)の場合は、最終給与比例方式よりも柔軟な設計がしやすい側面があります。勤続年数や等級、役職など、どういった要素をポイントとして設定しているかにもよりますが、「60歳以後は勤続ポイントを付与しない」、「60歳以後は等級ポイントを70%水準にする」といった方法により、退職金の上昇幅をコントロールすることも可能です。間は据え置きとする定年延長を行う前と同じ退職金水準を維持する方法です。残り5年間分の退職金の増加を抑制できるため、この方法を選択する企業は多いと思われます。一方で、社員側としては定年延長により退職金が増加することを当然期待するところですので、その点が高齢社員のモチベーションダウンにつながらないよう、説明方法には工夫が必要です(例えば、定年延長にともなって退職金自体は増加しないが、給与水準が増加するため生涯賃金ベースではアップするなど)。金を確定するが、一方で60歳以前の退職金カーブを改定することで、定年延長前と同じ水準を維持するの退職金カーブを緩やかにすることにより、定年延長後の65歳時点の退職金を定年延長前と同水準にする方法です。会社としては退職金負担の上昇を抑えることができますが、そもそもベースとなる退職金制度を大幅に見直すことになるため制度設計に多くの時間を要することや、制度導入時に一時的に退職金が減額になる社員(退職金カーブを寝かせるため、60歳時点の退職金水準は旧制度時より下がる)に対する経過措置の設定など、慎重な検討が必要な事項も多くなります。定年延長にともなって全社的な人事制度を一から見直す(退職金だけでなく給与カーブも見直す)予定があり、かつ制度設計に十分な期間を設けられる、といった企業であれば選択肢に入ってくるでしょうが、限定的であり、この方法を選択する企業は少ないでしょう。定年後再雇用制度で活用できる3ここ第まで2見退て職き金た制定度年延長の場合とは異なり、一般的な定年後再雇用制度(高年齢者雇用安定法に定める継続雇用制度)を採用している企業においても退職金制度の工夫を行っている例があります。ている場合、厳密には60歳時点で一度退職とな②60歳時点で退職金を確定し、60歳以後の5年③60歳以後も退職金を増額し、65歳時点で退職入社※ 新経営サービス人事戦略研究所作成資料現行制度水準60歳65歳入社現行制度水準据置60歳65歳入社現行制度水準60歳65歳44図表2 定年延長にともなう退職一時金制度の見直し方針60歳以後も退職金を増額しますが、60歳以前60歳定年の企業が定年後再雇用制度を採用し123

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