エルダー2022年12月号
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自社における高齢社員活用方針をり、退職金も確定して支払いがスタートするため、65歳までの再雇用期間については別途退職金が増加することはありません。その点では、会社側は定年延長のケースのように退職金負担の上昇を心配する必要はありませんが、再雇用期間に関しては別途退職金制度を設けていないケースがほとんどであるため、高齢社員の再雇用期間に対する勤続モチベーションにつながっていないという見方もできます。そこで、定年再雇用期間だけに適用される別枠の退職金制度が活用されることがあり、「第2退職金制度」などと呼ばれています。例えば図表3のような運用方法があります。メインの退職金制度とは異なり柔軟な制度設計が可能であるため、会社側にとっては運用が行いやすい制度であるといえます。退職金の水準としても、それほど高い水準を設定する必要は必ずしもありません。高齢社員側としても、再雇用期間に関しての人事評価がダイレクトに影響するため、再雇用期間中の評価を高めること、また再雇用期間を満了することへのモチベーションにつながる仕組みです。4以上、明簡確単にでしはてあおりくますこがと、が雇重用要延長にともなう退職金制度の見直し方法について解説を行いました。各社での実際の取組みにおいては、制度設計の技術的なノウハウはもちろんですが、ともすると技術論が先行してしまい、自社における高齢社員活用の方針が置き去りにされてしまう懸念もあります。水準の引き上げは行ったとしても、退職金まで引き上げる余裕のある企業は少ないのではないでしょうか。そのため、今回紹介したパターンのなかでは、60歳時点で退職金の計算は据え置きにする方法が多く選択されるものと思われます。もちろんその方法自体は現実的な選択肢であると考えますが、あくまで自社における短期~中長期の高齢社員活用の方針に沿った決断が求められます(高齢社員活用方針の検討方法については、2022年8月号〈本連載第1回〉を参照※)。実現するために、少額でも60歳以後の退職金の積み増しを戦略的に行う企業があってもよいでしょう。さまざまなプランを検討の土台に上げて最適な方法を模索していくことが大切ですが、常に「自社における高齢社員活用の方針に立ち返る」という姿勢は崩さないようにすることが肝要です。例えば定年延長を考える企業の大半は、給与高齢社員のモチベーションアップを少しでも<ポイント表>評価ランク※  本連載の第1回は当機構ホームページからもご覧いただけます https://www.jeed.go.jp/elderly/data/elder/202208.html※ 新経営サービス人事戦略研究所作成資料・ポイント積み上げ方式の退職金制度・再雇用期間中、契約更新時にポイントを算出し、退職時まで積み上げる・ポイント単価:1万円・ポイント表:下記参照・計算式:ポイント(再雇用後の勤続年数分)×1万円・累計ポイント(再雇用期間の勤続年数分)×ポイント単価・再雇用期間(5年間)の評価ランクが「B、A、B、S、B」の場合10p+15p+10p+20p+10p=65p・再雇用期間(5年間)の第2退職金合計:65p×1万円=65万円SABC5D020151045図表3 第2退職金制度事例の概要制度概要計算式計算例ポイント生涯現役時代生涯現役時代のの高齢社員活躍支援ののポイントポイント高齢社員活躍支援

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