エルダー2022年12月号
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1通勤は、労働者による労務提供の前提となる義務であり、その方法は原則として自由です。ただし、通勤手段を就業規則において定めておく場合、その内容が合理的な内容であれば、労働契約の内容となり、労働者にはそれにしたがって通勤する義務が生じます。例えば、公共交通機関を用いるように規定している場合には、それにしたがう義務があると考えられます。今回のケースでは、ネットワーク環境が在宅勤務に適さないことを理由に、65歳の社員が自動車通勤を希望したとのことです。就業規則において、自動車通勤を認めており、これを許可するための条件について特段の制限を設けていなければ、これを許容しないということは許されないと考えられます。いうことは、会社は在宅勤務用に自宅のネットワーク環境を整備しておらず、社員が自宅に用意しているネットワーク環境を利用させていると思われます。ネットワーク環境の改善を求めることは、私的な契約関係や費用を当該社員に負担させることにつながります。ネットワーク環境が適さない状態にあると自動車通勤に年齢制限を設けることはできるのでしょうか当社では通勤の負担を減らすため、在宅勤務もしくは自動車による通勤を認めています。「自宅のネットワーク環境が在宅勤務に適さない」という理由で、65歳のある社員から自動車通勤の申出がありました。自動車通勤に一定年齢の制限を設けることはできるのでしょうか。高齢者を含む自動車通勤を許可するために必要な管理があれば、教えてください。年齢により一律に通勤方法を制限することは、不合理な労働条件の変更または差別的取扱いとして許されません。個別の状況をふまえて、就労継続が可能な環境を整えることを前提に、自動車通勤による危険性と比較考量したうえで個別に許可しない方法をとることは可能と考えられます。自動車通勤の制限Q12022.1246弁護士法人ALG&Associates 執行役員・弁護士 家永 勲 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は変化するうえ、ときには重要な判例も出されるため、日々情報収集することは欠かせません。本連載では、こうした法改正や重要判例の理解をはじめ、人事労務担当者に知ってもらいたい労働法などを、Q&A形式で解説します。第55回 自動車通勤の年齢制限、飲食方法に起因した懲戒処分の可否A知っておきたいA&A 人事労務担当者にとって労務管理上、労働法の理解は重要です。一方、今後も労働法制は&Q労働法

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