エルダー2022年12月号
58/68

労働法の基本としくみQ&A 70歳までの就業確保制度の実務図解でわかる「労働法」は、労働基準法や労働契約法、労働安全衛生法、職業安定法、男女雇用機会均等法、労働者派遣法、高年齢者雇用安定法など、「働く・働かせる」ための決まりやルールなどを定めた法律の総称で、労務トラブルを未然に防ぐためにも、使用者、労働者の双方が知っておかなければならない知識といえる。しかし、漢字ばかりが並んでいて読みづらい印象があるうえ、わかりにくい表現も少なくない。本書は、それらを解きほぐし、平易な言葉と図やイラストを多用しながら説明し、理解へと導く入門書である。本書は、労働者の募集・採用のこと、労働契約のこと、賃金支払い5原則、休日・休暇の決め方、退職をめぐる手続きのことなど、一つの項目につき見開き2ページで解説がまとめられているので、知りたいこと、興味のある項目から読み進めていくことができる。最後の13章には、発生しやすい労務トラブルとその解決方法についての解説が掲載されている。新たに配属された人事労務担当者、部下を持つことになった新任の管理職やマネージャー、新入社員、これから社会に出ようとする学生などにおすすめしたい。テレワーク、フリーランス等の多様な働き方で対応改正高年齢者雇用安定法の施行により、2021(令和3)年4月から70歳までの就業機会の確保が企業の努力義務となった。就業意欲の高い高齢者を戦力化していくことは、いまや多くの企業にとって重要な経営課題といえる。本書は、企業として遵守すべき改正法の基本的な内容から説き起こし、対応する取組みとして、さまざまな70歳までの就業確保措置の導入の仕方や、就業規則、改正法で新設された創業支援等措置と社会貢献事業の実施方法などについてQ&A方式で説明する。第2章では、創業支援等措置(企業から高年齢者への業務委託など)をテーマに、元社員が個人事業者として働くことのメリット・デメリットや、委託・注文者(企業)と就業者(個人事業者)に適用される法律、企業の個人事業者への委託の進め方などを詳説している。また、第5章では、高齢者の労務管理のポイントとして職業能力についての考え方や、高齢者を含む要員計画の作成手順なども説き、法令遵守と経営の視点に加え、高齢者が自分の特性に合った働き方が実現できるよう、多様な雇用スタイルとその考え方も示している。人事労務担当者の手引きとなる一冊といえるだろう。佐藤広一・太田麻衣 著/アニモ出版/1980円布施直春 著/中央経済社/2970円2022.1256※このコーナーで紹介する書籍の価格は、「税込価格」(消費税を含んだ価格)を表示します基本的な知識とそのしくみをわかりやすく解説した入門書改正高齢法に沿ったさまざまな雇用スタイルとその進め方などを提示

元のページ  ../index.html#58

このブックを見る