エルダー2022年12月号
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(聞き手・文/溝上憲文  撮影/中岡泰博)部門や職種によって異なる多様なニーズ多様な働き方に対応可能な仕組みを整備プットが期待できることを条件に雇用を継続します。直接雇用を原則とし、業務委託契約などは行いません。処遇については仕事の内容、難易度、スキル、影響範囲などの視点から五つのランクを設定し、賞与は成果に応じて3段階で支給します。どのランクに入るかは基本的に各部門に決めてもらいます。若林 各部門の課長で構成する検討プロジェクトを組織し、社内のヒアリングを実施しました。ライン長からは「後進指導や技術支援の役割として期待している」という声もあれば、「研究スピードが早い分野では経験を活かせる領域が少ないのではないか」といった声も聞かれました。一方、当事者である高齢社員からは「健康なうちは年齢に関係なく働きたい」という声もあれば、「65歳の節目で引退したい」、「細かい解析などは視力の面から困難」など、部門や職種によって実に多様なニーズがあることがわかりました。したがって一律的な運用ではなく、ガイドラインに幅を持たせているのが特徴です。働き方については、短日勤務や短時間勤務も可能で、週3日勤務、1日4〜6時間勤務の人もいます。あるいは発電部門では工事の期間に限定し、1年に1〜3カ月だけスポット的に勤務するといったケースもあり、65歳以降の人材については約7割がこうした多様な働き方で業務にあたっています。賃金についても、月給制だけではなく、時給、日給での支払いを可能とし、基本的に上司が承認すればニーズに応じた働き方を選択できるようになっています。若林 みると、製造職やエンジニアリング職といった、もともと高齢社員が多かった部門に加え、ガイドラインを設けたことで高齢社員を活用する部門や拠点が大きく広がりました。年齢別にみると66〜70歳までが約400人で、71歳以降は徐々に減りますが、75歳の人材が152022年10月時点で、500人強の人働いています。健康管理に関しては就業可否判断基準などを設けていますが、加齢とともに体力の低下や病気のリスクが高まるため、70歳の節目で改めて自身の健康について確認するようお願いしています。若林 が高まることがシミュレーションでもわかっていました。そうなったときにシニア層をいかに活性化するかという、全体の人材戦略を描きながら制度改定に取り組んできました。おそらくそうした認識は他社も同じではないでしょうか。ありません。そうであるなら自社に適した施策にできるだけ早く着手し、課題解決に向けて取り組むことが、会社や社員にとっても大事なことだと思います。今後社員に占めるシニア層のウエイトまた、年齢によって能力が決まるわけでは―「75歳雇用」を掲げた制度の検討にあたり、社内の反応はどうでしたか。―それぞれの働く価値観や事情に対応した柔軟な働き方ですね。職種や年齢の違いはありますか。バイスをお願いします。―最後に70歳超雇用を目ざす企業へのアド2022.124富士電機株式会社 人事・総務室 人事部長若林正倫さん65歳を超えた人材が働いています。職種別に

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