エルダー2022年12月号
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ぎめ木た火入れでは「矯横浜竿の汐よしTEL&FAX:045(715)1291竹をまっすぐに矯正し強度を高める﹁火入れ﹂(撮影・福田栄夫/取材・増田忠英)んうるしその状態で留まろうとする性質があります。そのため、ばらしが少なく、釣り人の疲れも少ない。竹の質が悪いと、数回の釣りで曲がってしまったり、折れてしまうこともある。耐久性を持たせるには、できるだけ良質な竹を選ぶ必要があります。そうすれば、10年や15年も使える竿ができます」昨今は需要の減少で竹を扱う業者が少なくなったため、早坂さん自ら各地の竹林へ足を運び、良質な材料の選定・確保に努めている。切り出された竹は1年以上かけて自然乾燥させた後、「火入れ」という作業を行い、まっすぐに矯正する。焦がさないように焼きを均一に入れることで、強度も高まる。「火であぶることにより、竹に含まれる水分が沸騰すると竹は柔らかくなり、水分が抜けると再び硬くなります。柔らかくなったタイミングを見計らってまっすぐにします。どこをどう曲げれば最短の手数でまっすぐにできるかの見極めが大事ですが、長年の経験から体で覚えました」汐よしの竿は、手元の滑り止めのために籐とと糸を巻いて漆うを塗った「籐巻き」や、螺ら鈿で※などを取り入れた漆の「変わり塗り」などの独自の装飾も特徴の一つ。漆は何度も塗り重ねていくため、完成まで早くても1カ月半を要する。材料選びも加工も、手を抜かないことが早坂さんのこだわりだ。希少な和竿づくりの技術普及のため、工房で竿づくり教室を開き、150人以上の卒業生を輩出してきた。現在は弟子を1人迎えて技術の継承に取り組んでいる。「これからもいろいろな釣りを楽しみながら、1本でも多く、よい竿を提供したいと思います」 vol.322和竿づくりの材料や道具も販売漆の上に細工されたカワハギの形の螺「変わり塗り」(左)や「籐巻き」などの装飾も特徴の一つ」という道具を使って竹の曲がりを矯正するらでん鈿※ 螺鈿……アワビや夜光貝など貝がらを用いた装飾独立以来愛用する50本組の柳葉きり柳葉きりをモーターに取りつけて回転させ、竹の節をくり抜く火入れ用こんろで竹をあぶり、水分を蒸発させて徐々に柔らかくする63エルダー

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