エルダー2023年1月号
10/68

いう声が少しずつ大きくなってきたこともあり、要請のあった部署は65歳以降も個別に雇用延長をしていたのです。しかし、部署の要請に応じる形ですと、同じ年齢でも雇用される方とされない方がでてきます。部署の間でも不公平感があり、基準が明確ではなかった部分もあったので、改めて制度化をすることとなり、2018年に70歳までの再雇用制度である「シニアスタッフ行員制度」を導入しました。大木 現場からの「高齢社員の知識や経験を活かして働いてもらいたい」という思いが、導入の背景にあるのですね。65歳以降も雇用を継続するにあたり、新たに条件などは設けているのですか。業務評価や健康状態など、いくつかの条渡辺 件を設けていますが、決して高いハードルではありません。希望すればほとんどの方がクリアできる基準となっています。IT業界で創業50年、他社よりも早く訪れた高齢者雇用時代に対応TIS株式会社(以下、「TIS」)は、大木 IT産業という比較的新しい産業です。一口に「高齢者雇用」といっても、ほかの産業とは異なる、独自の背景がありそうですね。森田 そうですね。当社の取組みの背景として大きかったと思うのは、IT産業自体が活発である一方で、人手が足りていないという事情があります。新しい技術やサービスが展開されていますが、人材の確保がむずかしいという課題にぶつかってしまうのです。その課題を解決するための方法の一つが、雇用延長による高齢社員の活用でした。当社は2018年まで60歳定年後65歳までの再雇用制度として「シニア社員制度」を運用してきましたが、2019年に定年を延長し、さらに2020年に65歳定年後70歳までの再雇用制度である「エルダー社員制度」を導入しました。度」では、定年後再雇用により処遇の引き下げを行い、職務も処遇に見合ったものに変更していました。そのため、処遇が下がることによるモチベーション低下とともに、高齢社員の活躍の場が制約されるという課題が生じていました。そこで、ライフプランにあわせて定年年齢を選択でき、処遇を下げることなく、モチベーションおよび職責を維持したまま定年を迎えて株式会社京葉銀行 執行役員 人事部 部長 渡辺聡子氏860・63・65歳で定年を選択できる選択定年制を、65歳までの再雇用制度である「シニア社員制◎業種 銀行業◎従業員数 2250人60歳以上:249人(内訳)60〜64歳:155人65〜69歳:93人70歳以上:1人◎高齢者雇用制度 定年60歳、希望者全員65歳まで雇用、基準該当者を70歳まで再雇用◎役職定年制度 55歳(2022年10月1日現在)株式会社京葉銀行

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る