エルダー2023年1月号
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彰制度や、ほかの社員の模範となる高齢社員を行内向けメディアで紹介するといった取組みも行っていますが、まだまだ発展途上といったところです。年齢に関係ない実力主義の制度を貫きモチベーションの維持と向上を図る森田 従来の再雇用制度では誕生月を基準に1年ごとの雇用契約を結んでいたため、毎月のように再雇用契約の更新業務が発生していました。これを再雇用制度改正時に年度ごとの雇用契約に変更することで業務を効率化するとともに、年度の最中に再雇用が終了するということがなくなり、各部門でも人員計画が立てやすくなるように工夫しました。当社の65歳以降の再雇用制度は、雇用形態が変更となる以外は原則的に何も変わらず、同じ役割、同じ処遇で、賞与も支給しています。年齢にかかわらず実力主義を貫ける再雇用制度であることが、モチベーションの維持・向上につながっています。定年前後で処遇を変更することなく、全世代を通じて実力に応じた処遇とすることで、パフォーマンス、能力に見合った仕組みとなっています。当社の場合は、2019年に65歳に定年を延長し、2020年に70歳までの再雇用制度を導入したため、2018年以前に再雇用となった社員の場合は、一定数の社員が定年を2回迎えています。そうした方からは、「以前の再雇用制度と比べると、がんばれば正社員と同じように報酬に反映されるので、とても前向きに仕事に取り組める」という声が届いています。また、当社では「わくわくスクール」を開講しています。これは、社員が講師となって得意な分野を教え合うという学びの場となっているのですが、高齢社員にはここで次世代の育成面で活躍していただきたいと考えています。全社で360度評価を導入プライドに訴えやる気を引き出す喜多 当社の場合、もともと希望者全員70歳まで再雇用としていましたが、2020年から再雇用の基準を設けています。それ以前は、役職定年の62歳以降(監督職の一般従業員は58歳以降)は、指導役として後進の育成をになってもらうため、「コーチ」という呼称を導入していたのですが、「コーチ」と呼ばれることで本人の仕事に対する意識が一歩引いてしまう、といった課題が生じていました。また、時を同じくして、経営陣からは「だれでも働き続けることができる、という状況でよいのか」、「再雇用の条件を設けた方がよいのでは」という意見もあり、「コーチ」の呼称を廃止するとともに、再雇用に一定の条件を設けることとしたのです。は高齢社員を含む全社員を対象とした360度評価※を取り入れています。もちろん、評価と処遇は連動していますので、再雇用社員であっても、高い評価を得れば処遇も上がります。これはモチベーション向上の一助になっていると思います。   を“褒める”ことも重要だと思います。「さすからも評価をされますから、高齢社員からするとそれこそ「負けたくない」という気持ちもあるのかもしれませんね。長く仕事を続けてこられただけにプライドもありますから、よい仕事がですね」、「いつもありがとうございます」の一言を、意気に感じてくれる方も多いように思います。そういった意味でも、プライドに訴えかける360度評価は、モチベーションの維持・向上につながっているのではないでしょうか。大木 いうのが重要なキーワードになっていますね。しかし、公平で多面的に評価するということは、社員個々人の様子をつぶさに見ていなくてまた、モチベーションの面でいうと、当社で360度評価は周囲の同僚、つまり若手社員お話をうかがっていると、「褒める」と10※ 360度評価……上司や同僚、部下などさまざまな立場の人が評価を行う仕組み

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