エルダー2023年1月号
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でDXは高齢社員が苦手とする分野という印象もあります。喜多 自社の研修だけで育成することがむずかしいのは、やはりIT人材です。社内での育成だけでは、社会の変化の速度に追いつけません。いまはまだそこまで影響は出ていませんが、今後は中途採用などでIT人材を採用していかないと、世の中から取り残されるという危機感を持っています。当社はローテーションでさまざまな部署に配属されますが、分母が多いのはやはり営業職です。営業職を中心に仕事をしてきた高齢社員の場合、ITスキルの修得はやはりハードルが高いでしょう。渡辺 銀行はまさにDXが進んでいて、システムでできるのであれば、人間がやらなくてもよい、という形に変化してきていますね。学生の就職活動を見ていても、最近は銀大木 行の事務的な仕事の求人が少ないのです。そもそも店舗の窓口にあまり人がいないですよね。銀行に入って一般業務・窓口を担当したいという学生にとっては競争が厳しいようです。そうですね。いまは窓口での事務的な仕渡辺 事は少なくなっており、求められるスキルは、お客さまの資産運用相談業務など、コンサルティングの仕事が多くなっています。そうするとますますコミュニケーション大木 の力が重要になりますね。そういうところにこそ、高齢社員の持つ経験が活きてくるのかもしれません。結局機械ができないこととは、人と人とのコミュニケーションということですね。森田 当社では、定年延長した際に、いままでターゲットにしていなかった50歳以降のキャリア採用についての応募が多くなり、実際に50代以降の人材を採用しています。最近の例では、エンジニアではない方でも、顧客目線で事業企画をになう高齢の方を新たに採用するという実績も増えています。高齢社員のITスキルの面でTISの森喜多 田さんにお聞きしたいのですが、高齢者のIT人材の場合、スキルに差は出ないのでしょうか。個人差はやはり大きいと思います。当社森田 は実力主義を掲げていますので、ハイパフォーマー人材は実力主義人事を歓迎していると思いますが、パフォーマンスが低下してくれば処遇も下がるという厳しい制度であるのはたしかだと思います。喜多 より長い期間活躍してほしいと思う一方で、高齢社員にもがんばって成果を出してもらわないといけない。すごくむずかしいところですよね。森田 でモチベーションが低下したという反省のうえに立った実力主義ですので、研修などではその厳しさについてもお伝えするようにしています。大木 てハイパフォーマーではなくても、京葉銀行やトラスコ中山に転籍したら活躍できるという可能性はありませんか。渡辺 いIT人材はなかなか採用できないので、早期退職をされたIT人材などをターゲットに採用活動をしています。今年度になってからは、60歳を過ぎた人材も採用しています。大木 IT人材は差が大きいので、持っている能力が別の場に行けばすごく役に立つ可能性もあります。人材の流動化が活発になり、高齢社員の活躍の場が広がっていくとよいですね。大木 活躍されていると思いますが、高齢社員が若手社員に与えている影響などについて教えて年齢に配慮して処遇も役割も下げることTISのような専門人材のなかでは決しそれはあるかもしれませんね。当社は若場によって優秀さは変わりますし、特に高齢社員の仕事ぶりは若手社員にも好影響を与えるみなさんの職場では多くの高齢社員が13 64歳の方がキャリア入社されました。システム

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