エルダー2023年1月号
19/68

従業員を「シニア」と称します。(1)定年の延長真っ先にあげられるのが定年年齢をどうするかです。先述の「高年齢者雇用状況等報告」によれば、定年の廃止や65歳を超えた定年を設定する企業はまだ少ないなか、65歳定年の企業は中小企業では21・7%、大企業では13・7%と、少しずつですが増えてきています。これをみるに、70歳までの就業の努力義務化に対して、定年がこれまで60歳だとすれば、60歳を超えてその後の10年間は長すぎるという見方が前提にあると思われます。すなわち70歳雇用に向けて、まずは65歳定年を考えていくべきともいえるでしょう。これを進めるにあたっては、対象者の構成などをふまえ、まずは62歳とするなど段階的に実施するか、それとも一気にとともに、退職金を含む賃金処遇をはじめ、60歳を過ぎてすでに継続雇用(嘱託などの再雇用契約者)となっているシニアとのバランスをどうするかなども検討課題となります。(2)65歳からの継続雇用仮に65歳定年を前提にすると、65歳を過ぎてます。すなわち、労使協定のもとに業務委託や委任契約などを締結することも可能ですが、その多くは引き続き雇用契約とすることが想定されます。以下、70歳までの雇用を前提にご説明します。も希望者全員とはせずに、任意の限定基準を設けることもできます。ただし、「会社が必要と認めた者」や「上司の推薦がある者」などに限定することは、恣意的に一部の高齢者の排除が可能となり、高齢法の趣旨に反するので認められません。また「意欲」や「能力」に関する基準を設けることもできますが、できるかぎり具体的に測れるものであって、求められる能力などが客観的に示され、該当の可能性を予見することができるようにしなくてはならないので注意が必要です。(3)担当職務業務によって対応が異なってくることがないかどうかです。例えば製造業では研究職と技能職では業務内容も身体への負担も異なってきます。個人差が大きいことはもちろんですが、工場の技能職や運転にかかわる職種などでは安全や健康面での配慮がより厳格に求められることになることに留意する必要があります。(4)働く場所勤負担のためシニアからニーズが高い働き方が在宅勤務を中心としたテレワーク(モバイルワーク)です。なかには親の介護の問題もあって「故郷に戻って働きたい」、「子どもの住居の近くで働きたい」という要望を聞くこともあります。(5)労働時間管理ので、パートタイム勤務の選択肢を設けることも考えられます。その場合には1日あたり6時見落としがちなのが、所属部門や職種、担当コロナ禍で定着してきた感もありますが、通フルタイム勤務のほか、個人差も出てきます17図表2 60代後半層の雇用確保措置を実施する場合に必要となる取組み(n=2,708)0.0%5.0%10.0%15.0%20.0%25.0%30.0%35.0%40.0%継続雇用者の処遇改定高年齢者の健康確保措置全社的な賃金制度の見直し全社的な人事制度の見直し新たな勤務シフトの導入設備や作業環境の整備適職の開拓退職金制度の見直し教育訓練の強化・充実新卒者や中途採用者の採用計画の見直し出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「高年齢者の雇用に関する調査」(2020年)65歳を過ぎてからは対象者について、必ずし70歳までは高齢法上では就業が努力義務となり65歳まで延長するかどうかの判断が求められる18.7%18.1%13.1%9.6%7.7%6.1%4.2%37.0%32.8%22.6%

元のページ  ../index.html#19

このブックを見る