エルダー2023年1月号
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間など短時間勤務とするか、または個人の趣味趣向や健康面を考慮して週の間に中休みを設ける週休3日制とするかなどの選択肢が考えられます。また工場勤務の場合には、3交替制やシフト勤務、深夜勤務をどうするかが課題となります。グループの円滑な運営を目ざすなかでシニアを含めてシフトを組むことのむずかしさを訴える企業もあります。(6)人事制度①(シニア用)等級制度脱年功人事から職務・役割重視の人事制度(いわゆるジョブ型)へシフトさせる必要性はよくいわれるところですが、役職定年や定年後継続雇用により、勤務や役割が限定されるような場合は、シニアに適応する制度であることは間違いありません。定年後の継続雇用はもちろんのこと、定年を延長するにあたってもシニアから一歩先に導入することもできないわけではありません。②役職任用ライン長としての任用にあたって「役職定年制」も検討課題になるところです。人材不足のなかで年齢によって一律にポストから除外することが必ずしも適策とはいえなくなってきている現状がうかがえます。また、役職定年制を採り入れるにしても、余人に代えがたい場合の例外措置をどうするかといった問題について、一方の優秀な若手の抜擢とのバランスも検討する必要が出てきます。また、役職定年制とは切り口を変えた「役職任期制」(原則、課長職は2年間の任期として必要に応じて更新も有りとするなど)を採り入れる企業も見受けられます。期待される役割任務に対して緊張感を持って臨み、役職(ポスト)を身分化させないための方策といえます。③評価制度同一労働同一賃金の観点からも、シニアの評価を実施することが避けられなくなってきています。その際、これまで正社員に導入されてきた目標管理制度(MBO)※1をシニアにも実施するかどうかなども検討の余地があります。(7)賃金制度①基本給 なく、仕事基準の考え方のもとに適正な額を設定していくべきです(昇給額・率ではない、絶対額としての管理方式となります)。定年後継続雇用への移行時に、60歳未満の正社員とは区別して賃金制度を設定している企業もあります。また仕事給としての役割給や職務給を導入している企業では、原則として全社一律に設定すべきであるといえます。②諸手当どの生活補填手当は、同一労働同一賃金からみた適正対応が求められます。例えば定年前の正社員に支給されている危険手当が、定年後の嘱託社員には支給されないなどの場合には、真っ先に解決すべき課題となります。③賞与れていますが、今後は適正な対応が求められます。①~③について、シニアにとどまらず、企業によっては50歳くらいからの賃金カーブをあらためて見直すなどの必要性も出てくるところです。また、在職老齢年金※2や高年齢雇用継続給付金※3について、個々のシニアにとってはトータルの年収額にも影響してくるので、これも含めての検討が避けられなくなることもあります。④退職金制度問題になります。定年前と同じく毎年積み増していくのか、凍結するのかの選択となります。また、これにあたっては、企業年金(中退共を含む)との関連についても検討していく必要が特に仕事に関係する手当や家族・住宅手当な同一労働同一賃金のガイドラインにも明記さ退職金制度の内容をどうするのか、これまで18※1 目標管理制度……従業員が自己の目標を定め、達成に向けて努力し、成果を自ら評価することにより動機づけを図る仕組み※2 在職老齢年金……60歳以降、働きながら受け取れる老齢厚生年金のこと※3 高年齢雇用継続給付金……60歳以上65歳未満の雇用保険の被保険者(被保険者期間が5年以上)で賃金が60歳到達時の75%未満となった方を対象に、最高で賃金額の15%に相当する額を支給する制度60歳定年であった企業が60歳を超えての運用の60歳時点の60%などと一定の率とするのでは

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