エルダー2023年1月号
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出てきます。なお、支払い時期について、本来支給されるのは退職時となりますが、定年延長などにあたっては、旧定年に達した際、先々退職金を支給することがない前提のもとに支払うことも例外的に認められています。(8)そのほかの運用面①安全、健康管理厚生労働省から「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」(エイジフレンドリーガイドライン)が発表されています。加齢による身体機能への影響は個人差も大きく、特に現業職などでは注意が必要になってきます。シニア雇用が進むと、成人病、がんなどへの対応もこれまで以上に求められてきます。健康診断の充実など、予防の段階からの早期発見、病気が発覚してからも勤務を続けながら治療するための支援体制、休職・復職などの人事・賃金制度の見直しなどにも関連するところです。②福利厚生賃金そのものにはあまり関心を持たなくなってくるシニアもなかにはいます。このこともあって、福利厚生施策として家族の介護などのプログラムも組み入れたカフェテリアプラン※4などが有効とされています。・長年の経験から、豊富な人脈、高度な習熟技・定年までの雇用を前提とすれば、能力、人柄・教育費・住宅ローン返済などから解放された人てお伝えしたいのは、まずは高齢者雇用のメリットの方に注目すべきであるということです。例えば以下があげられます。様な働き方からも、パートタイム労働、副業・兼業、テレワーク(夫婦二人暮らしも多く、自宅のスペースからみても比較的余裕がある)、サテライトオフィスおよびワーケーション※6、さらには業務委託やボランティアなど、むしろシニアの方が適応する施策も少なくありません。主義がいっそう進むきっかけになるとみています。企業ごとのシニア対応の違いが、新たな競争力の源泉にもなってくるものと期待しています。このような状況においてコンサルタントとし能を持つ人が多いことや職務適性なども互いによくわかっており、愛社精神も持っているので後輩指導などに期待できることも多く、その場合は退職金や年金の受給などともあわせて生活費に必ずしも重点を置く必要がない人も多いことあわせて、ニューノーマル時代※5における多さらに、新たなシニア制度が仕事本位の能力③教育研修セカンドキャリア研修や最近注目されている新しい技術の習得を目ざすリスキリングなどをどのように有効に実施するかが重要です。④その他再雇用時や契約更新の際の対象者との面談の機会を、いつ、どのように持つかも重要になってきます。また、定年延長を阻む要因の一つにもなっていますが、シニア層のなかの低評価者や問題社員への対策も避けては通れません。あわせて、いわゆる「上がり」の状態で会社にしがみつくようなシニアとなれば周囲にもよい影響は与えません。昔の部下が上司となり、異動もままならずパワハラの温床になりかねないと危惧する意見もあるようです。人生の先達として後進の育成に積極的にあたるようにマインドを維持していく策を考えていく必要があります。4高齢ま法とをめ受けて、今後、高齢者の雇用が増えていくことは間違いありません。なかでも人材不足問題を恒常的に抱える業界などでは顕著になると思われます。19※4 カフェテリアプラン……福利厚生制度の一つ。従業員がポイントの範囲内で用意された福利厚生メニューを自由に選択・組み合わせて利用できる仕組み※5 ニューノーマル時代……新型コロナウイルス感染症のパンデミックを経て新たな常識が定着する時代※6 ワーケーション……「ワーク」と「バケーション」を組み合わせた造語。観光地・リゾート地などでテレワークを活用して働きながら休暇をとる過ごし方

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