エルダー2023年1月号
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■■■■■■改革は時に必要な者をリストラする江戸時代に〝大名の手本〟として、徳川幕府が表彰した殿様がたった一人います。米沢藩(山形県)の藩主上■杉■治■憲■(号は鷹■山■)です。人生訓として、「なせばなる なにごとも なさぬなりけり」が有名です。私はこの言葉を少しヒネって、「ものごとが成功しないのは、本人にヤル気がないからだ」と解釈しています。鷹山が表彰されたのは、藩政改革の成功によってですが、かれは、「改革は〝勇気〟の連続だ」といっています。「だれもがイヤがることを押しつけるからだ」というのがその理由です。こんな話があります。なさねばならぬならぬはひとの 改革でどこでも行うのがリストラ(人員整理)です。人件費削減です。鷹山も行いました。かれの整理基準は、「新しく就職した者から」というもので、「古い者にはそれなりの仕事の経験があるので」といいました。そのため、〝米沢城で一番の働き手〟として評判を高めていた、〝殿様付きの奥女中の娘〟が真っ先に対象になりました。驚いた家老が鷹山のところに飛んできました。「殿、とんでもないことです。あの娘を整理したら、ご自身がご不自由になりご不便で何もできませんぞ。特例にしましょう。あの娘は例外です。よろしゅうございますね?」鷹山は首をヨコにふりました。「よろしくない。例外は認めぬ」2023.120[第122回]

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