エルダー2023年1月号
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ずっと働ける環境づくり得意な木工で什器製作、働きやすい職場づくりに貢献■■■〝ちょっと進んだ〟という点です。大きく突出するのはむずかしいことですが、一日一日ちょっとずつ進んでいけば、一年後には大きな前進となり、三年後にはもっと進んでいます。大切なことは日々の努力で、これを徹底しています」(万殿社長)人を大事にする会社として「お客様と従業員の幸福を追求するとともに、モノづくりを通じて地域・社会に貢献し続ける」を経営理念の一つに掲げ、従業員だけではなく、従業員の家族をはじめ、顧客、地域住民を大切にする経営方針を実施している同社。2021年に完成した福利厚生施設の1階には、県産木材を使用したモダンな内装の社員食堂と、イタリア製最新マシンを備えたトレーニングジム、2階は琉球畳を敷き詰め、窓に障子をしつらえた座禅堂を備えています。「これらはすべて従業員の食の健康と、心の健康、体の健康のため」と万殿社長は話します。トレーニングジムには専任のトレーナーを社員として採用し、従業員全員が個別指導を受けられるようにしています。座禅堂では月に1回、岡山市内のお寺から僧侶を迎え座禅会を開催。施設は地域の人たちも利用可能で、地域貢献・活性化にも一役買っています。同社の事業、福利厚生などの制度、日ごろの取組みなどが評価され、2022年に「人を大切にする経営学会®」が実施している「第12回日本でいちばん大切にしたい会社大賞」※の審査委員会特別賞を受賞しました。同社の定年年齢は60歳。定年後は希望者全員65歳まで、基準該当者を70歳まで再雇用し、さらに上限なく働くことができます。「定年を迎えても体が健康で引き続き工場で働けるのであれば、同じ仕事をそのまま続けてほしい」という万殿社長の考えから、定年後の賃金は時間給に移行しますが、65歳まで減額せず定年前と同じ金額を維持しています。65〜70歳はやや減額となりますが、話し合いのうえ、作業内容を軽減し身体の負担を減らしています。また、70歳まで賞与を支給するなど、定年後の活躍にも期待しており、高齢従業員のモチベーションの維持・向上に努めています。「高齢者雇用だけではなく、障害者雇用まで見すえた新事業にも取り組まれており、『第12回日本でいちばん大切にしたい会社大賞』において審査委員会特別賞を受賞していることからもわかる通り、まさに地域を代表する企業です」と安藤プランナーは語ります。そこで今回は、職場のムードメーカーにもなっている最高年齢者の従業員にお話を聞きました。「理髪店にはもう20年行っていないですよ。何せずっと美容室に通っていますから」とはじけるような笑顔で冗談をいう植■田■得■之■亮■さん(77歳)。周囲から「とくちゃん」と呼ばれて慕われている存在です。担当している業務は、駐車場に設置する「フラップ」と呼ばれる機械を出荷する作業です。資格を活かしてクレーンを操作し、積荷を平均で全に気をつけて作業をしていますが、さらなる安全確保のため、自ら開発した安全装置をクレーンに設置。「これはどこで売っていますか?」と聞かれることもあるのだとか。実はこういった装置や什器を製作する仕事こそ植田さんの「本職」です。最新設備を取り揃えたトレーニングジム2023.124※ 「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞…… 人を大切にする経営学会■が主催する、日本の経済に、日本の働くすべての人に、本当の活力を生み出すために「正しいことを、正しく行っている企業」を表彰する制度70歳からは一年ごとの契約となりますが、年齢の10〜20台、多い日は100台積んでいます。常に安

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