エルダー2023年1月号
39/68

しょうか。よく知られているのは、年齢や性別です(図表2)。しかし、これらは変えることはできませんよね。しかし、減量や禁煙などのライフスタイルの改善はできそうです。また、コロナ禍では、感染を予防するために外出の自粛が呼びかけられました。しかし、外出自粛により感染症に罹患するリスクは低下するものの、体重増加や運動不足のために、抵抗力が低下し、生活習慣病になるリスクは増大してしまいます。一方、外出して社会参加すると、感染症に罹患するリスクが増大する懸念があります(図表3)。最近、握力や歩行速度の低下がコロナの重症化と関連していることが報告されています。実際、外来で患者さんの話を聞いていると、コロナ禍で検査値が悪くなった人もいれば、よくなった人もいます。検査値が悪くなった人は、「在宅勤務で歩かなくなった」とか「ジムが閉まっていてジムに行けない」などと答えられています。その結果、家でテレビを見ながらゴロゴロしていて、生活が不規則になっているようです。逆に、コロナ禍で検査値がよくなったというのは、隙間時間に運動をしたり、自宅でもできる運動を始めた人たちです。大掃除や断捨離に積極的に取り組んだ人も検査値が改善しています。また、在宅勤務になっても規則的な生活を継続している人は検査値が改善しています。コロナの重症化予防のカギは運動療法や生活リズムの改善にありそうです。日ごろの運動を心がけるとともに、在宅勤務であったとしても、例えば、普段出勤するときと同じ服装に着替えたり、髪の毛をセットしたり、お化粧をするなどして、気持ちを切り替えてから仕事を始めてみましょう。会社で仕事をするのと同じように昼休みを取り、終業時間までしっかり仕事をするのです。つまり、家にいるからといってダラダラ仕事をするのではなく、生活にメリハリをつけることが大切です。もちろん、コロナに強い身体をつくることができれば、風邪などの身近な病気を予防することにもつながります。ここでみなさんにクイズです。「コ」、「ロ」、「ナ」という言葉を組み合わせると、ある漢字をつくることができます。そう「君」です(図読者のみなさん、あなた自身です。テレビのニュースや新聞などで「コロナ」の文字を見かけたら、「『ゴ』『ロ』ゴロする『ナ』」と、自戒を込めて自分の生活をふり返ってみてはいかがでしょうか。表4)。ライフスタイルの改善に取り組むのは37図表2 コロナの重症化と関連するのは?図表3 外出自粛か社会参加か?図表4 コロナを足すと…外出自粛で体重増加エルダー外出先での感染リスク分類属性ライフスタイル基礎疾患出典:Li X, et al. PLoS One. 2021;16(5):e0250602を基に筆者作成危険因子オッズ比加齢男性肥満喫煙高血圧糖尿病心血管疾患慢性腎疾患脳血管疾患慢性閉塞性肺疾患がん慢性肝疾患1.73倍1.51倍1.89倍1.40倍2.42倍2.40倍 2.87倍 2.97倍 2.47倍 2.88倍 2.60倍 1.51倍対策修正不能減量禁煙減塩など減量や運動など血圧・血糖・脂質管理血圧管理血圧管理禁煙など野菜摂取など減量など健康ライフ健康ライフ

元のページ  ../index.html#39

このブックを見る