エルダー2023年1月号
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清見さんから教えていただけますでしょうか。清見 当社は地方にあり、高齢化とともに労働力不足も進んでいます。そうしたなかで、縁あって入社し、がんばっている仲間が、いきいきと働き続けられる環境をつくるためには何をすべきか。そういった視点から制度の見直し・導入などを行ってきました。特別なことをしているという感覚はありませんでした。ありがとうございます。では、根上さん浅野 の会社はいかがでしょうか。根上 人口減少にともなう市場規模の縮小は建設業とも密接にかかわっており、地域ゼネコンがいかにして生き残っていくのか、たいへんな危機感のなかで、制度の改善・導入に取り組んできました。まず、技術力や管理力を向上させ、小さいながらもストロングな企業体質に変身させたいと考えるなかで、「技術は個人が持っている」というあたり前のことに気づきました。そこで、大手ゼネコンを定年退職者された方で「まだまだ働きたい」という方がおり、力を借りようと思ったのが、「技師長制度」の始まりです。採用にあたっては、個々の事情にあわせて働き方などに配慮し、役割としては、若手社員の育成と指導に努めてほしいと伝えています。ありがとうございます。会社の課題を解浅野 決するために、スキルを持ち経験豊富な高齢者の活用を始めたということですね。高齢社員のモチベーションの維持・向上のために必要なこと浅野 続いて、高齢社員にやる気を持って長く働いてもらうためにはどうしたらよいのか。みなさんの会社では、何か仕掛けがあるような気がします。清見さんからお願いします。清見 正社員について「職能等級制度」、「評価制度」、「賃金制度」の見直しを行うと同時に、高齢者が多いパート社員に関しても、がんばりを認める「評価制度」をつくりました。もちろん、制度はつくって終わりではないので、社員モルツウェル株式会社株式会社恵那川上屋エルダー2022年10月号2023.144定年は65歳。希望者全員70歳まで再雇用。その後は運用により年齢上限なく再雇用。他社を退職した高度な技術を持つ高齢者を積極的に採用する「技師長制度」、社員や協力会社から技術者などを推薦・紹介してもらう「リファラル採用制度」がある。3社のさらに詳しい取組み内容は、本誌2022年10月号「特集」※をご覧ください ※当機構ホームページでご覧になれます https://www.jeed.go.jp/elderly/data/elder/202210.html検 索〈島根県松江市〉株式会社トーケン〈石川県金沢市〉事業創造大学院大学 事業創造研究科 教授の浅野浩美氏〈岐阜県恵那市〉◎創業 1996(平成8)年◎業種  小売業(高齢者向け食品製造販売)◎従業員数 147人(2022年5月31日現在)◎特徴的な高齢者雇用の取組み定年は65歳。希望者全員70歳まで再雇用。その後は運用により年齢上限なく再雇用。独自に開発した「人事評価システム」、「成長シート」により人事評価を実施。業績に応じて賞与に連動する仕組みを、定年後の嘱託社員(作業職以外)にも適用。◎創業 1970(昭和45)年◎業種  総合建設業◎従業員数 84人(2022年4月1日現在)◎特徴的な高齢者雇用の取組み◎創業 1964(昭和39)年◎業種  食材栽培、菓子製造、菓子販売◎従業員数 318人(2022年6月1日現在)◎特徴的な高齢者雇用の取組み定年は65歳。希望者全員70歳まで再雇用。その後は一定条件のもと、年齢上限なく再雇用。正社員に新たな職能等級制度、評価制度、賃金制度を導入。高齢者が多いパート社員は、役割遂行レベルに応じて3クラスに分け、戦力化と定着化を図っている。 企業プロフィール(建設総合サービス業)

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