エルダー2023年1月号
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なるものの、一から学び、社会貢献につながるという思いから、いまでは第一人者のように成長し活躍しています。シニア社員がやる気になってくれたら、まだまだ会社の成長につながると思っています。浅野 ありがとうございます。高齢者介護施設紹介事業や障害者就労支援事業といった新規事業で、その経験がない高齢社員がチャレンジしていることもすばらしいと思います。次に、清見さん、いかがでしょうか。清見 業務の見直しという点では、設備や機械を導入し、省人化・効率化を図り、生産性を高める取組みを行っていくことが、高齢社員の働きやすさにもつながってきていると思います。また、当社には「前に推し進める」という意味の「フィードフォワード」という考え方があります。当社の場合、若年者も多く働いており、若手・中堅社員にはさまざまなことに取り組んでもらいたいと考えています。当社の鎌田代表取締役は「20歳の人が60歳の人生経験と仕事の経験をふまえた意見をもらえれば、40年分先に行く」と話しているのですが、高齢社員には、豊富な知識や経験を若手に伝えていく役割があると思っています。浅野 ありがとうございます。「フィードバック」ではなく「フィードフォワード」、そして、「40年分先に行く」という発想は、逆に高齢社員の側にとっても、可能性が広まるということもあるのではないかと思いながら聞きました。それでは、野津さん、お願いします。野津 私は、組合せが大事ではないかと思っています。例えば、魚を並べて焼くという工程の場合、魚を何百匹も運び、並べることは高齢社員にはたいへんな作業です。一方、同じ工程にいる障害のある社員は、機械操作や計算は苦手ですが、運んだり並べたりするのは得意。両者がペア就労し、苦手なことを互いにフォローし合うことで業務がスムーズに進みます。こうした組合せを工夫することが、チームで成果をあげることにつながっていくのだと思います。浅野 で考えるということが大切なんですね。その一方で、高齢社員に、より長い期間、力を発揮してもらうために、工夫をされていることはありますか。清見 社では、人の目で行っていたことを機械で行うようにしました。また、高齢の就農者の方々が、高い所に手を伸ばすのではなく、低い位置で無理なく作業できる方法で栽培を行っているのを拝見して、そうした考え方を製造や販売の現場でも取り入れていくことを心がけています。野津 材の大きさや味つけなど、一人ひとり異なり、何百種類も組合せがあって覚えるのがたいへんです。そこで、その情報をデータ化して、だれでもたずさわれる業務にしようとシステム開発を進めています。浅野 発揮してもらいつつ、いろいろな変化があるなかで成長されています。変化に対応し続けていくために、また、社員が知恵を出し合うために、日ごろからどんなことを考えていらっしゃるのありがとうございます。組合せやチーム身体的な能力の低下への対応として、当高齢者施設の入居者の方々の食事は、食変化に対応し続けていくための経営者・人事に求められる取組みとはみなさんの会社は、高齢社員の方に力を2023.146株式会社トーケン 代表取締役会長の根上健正氏 

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