エルダー2023年1月号
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していると考えられる非正社員のなかで、社会的な経験が豊富な40歳以上59歳以下の非正社員で、かつ、勤務年数・労働時間が長く、勤務先での呼称が非正社員(以下、「中高年非正社員」)が高齢期に向けてどのような意識を持っているのか、さらに、どのような職業生活設計を持っているのかを明らかにした調査研究は多くない。高齢者雇用の課題を検討するにあたっては、従来、定年制が適用される正社員を前提として論じられることが多かった。一方、非正社員は高齢期に至るまでのキャリアの推移が正社員に比べて多様であり、仕事と生活との関係、社会保険加入状況などにも個人差が大きい。非正社員の場合、定年による大きな労働条件の変更など年齢によるギャップを経験することが少ない。正社員に比べて年齢による働き方の変化が緩やかななかで、長く働き続けるために求められていることは何か、非正規雇用で働く者の意識やニーズを明らかにすることも重要であろう。なった「同一労働同一賃金(「正社員と非正社員の間の不合理な格差の解消」)」に代表されるような「正社員と非正社員の処遇均衡・処遇均等」の問題がある。このことは異なる働き方をする労働者間の均衡・均等に配慮した雇用管理や報酬管理を構築することに迫られていることでもある。では、正社員に近い働き方をしていると考えられる「中高年非正社員」からみて、企業が「中高年非正社員」に対してどのような人事管理を行っているのか。民間企業に勤務し、職場で非正社員という呼称で呼ばれている者で、かつ、「現在の勤務先での勤務年数が5年以上で、かつ、週20時間以上働いている者」を対象にしたアンケート結果の分析(詳細については執筆者が参加した(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(2021)『非正社員の人事管理とキャリア〜中高年(40〜さらに、近年の働き方改革で問われるようにこうした点について、ここでは、40〜59歳の企業経営に必要不可欠な中高年1198(040年〜代59後歳半)以降非、正非社正員社員の数と比率が着実に増えてきている。総務省「就業構造基本調査」によれば、全雇用者に占める「正規の職員・従業員」(以下、「正社員」)の割合は、1987(昭和62)年には74・9%、1997(平成9)年には70・1%、2002年には7割を割り63・1%、2007年には6割を割り貫して正社員が減少し、これと対照的に非正社員が増加している。このことは、企業にとっては、非正社員なくしては企業経営が成り立たないことを示している。特に、正社員に近い働き方をしていると考えられる「勤務年数が長く、かつ、労働時間が長い非正社員」の動向は、人手不足時代を企業が乗り切るために必要不可欠な存在である。しかしながら、こうした正社員に近い働き方を2023.14859・9%、2017年には58・3%になり、一大大大木木木栄栄栄一一一玉玉玉川川川大大大学学学経経経営営営学学学部部部教教教授授授特別寄稿企企業業のの人人事事管管理理中中高高年年((4040〜〜5959歳歳))非非正正社社員員ののキキャャリリアア設設計計とと

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