エルダー2023年1月号
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第一に「中高年非正社員」が高齢期に向けて、どのような意識と職業生活設計を持っているのか、第二に企業が「中高年非正社員」に対してどのような人事管理を行っているのか、を紹介する。中高年非正社員の高齢期に向けた意識と職業生活設計2「中高年非正社員」の高齢期に向けた意識と職業生活設計に影響を及ぼすと推測される「現在の勤務先における非正社員の活用方針・活用戦略」をどのように評価しているのかについてみると、「会社にとって、非正社員は戦力であるという方針を持っている」は6割弱が評価している。しかしながら、これ以外について、勤務先における非正社員の活用方針・活用戦略を評価していない者が多く見られる。特に、評価が厳しい活用方針・活用戦略は、「非正社員の処遇を考えるとき、正社員とのバランスを意識して決める方針を持っている」、「今後、会社は非正社員がどの程度増えるのか、見込みを立てている」、「非正社員の雇用に取り組むための体制(担当者の選任、相談窓口の設置等)を設けている」、「経営者や管理者は正社員に対して、非正社員の活用の大切さを働きかけている」、「非正社員に期待する成果・業績について、明確な方針を持っている」、「上司との面談等によって、非正社員と緊密なコミュニケーションを図る工夫をしている」の六つで評価が低くなっている。現在の勤務先での就労希望年齢は、「60歳ぐらいまで」が17・1%、「65歳ぐらいまで」がける限り年齢に関係なく」が23・9%、「わからない」が30・7%である。こうした現在の勤務先での就労希望年齢は、勤務年数・平均的な労働時間にかかわらずほぼ同じであるが、従事する仕事で、就労希望年齢は異なる。高齢期(おおむね60歳以降)に働く場合、最もよいと思う働き方は「就業時間や日数を減らして働く」が4割強で最も多く、次いで、「現在と同程度の就業時間や日数で働く」、「わからない」、「必要がなければ働かない」、がこれに続いている。従事している仕事別にみると、サービスの仕事に従事している者および保安の仕事に従事している者で「就業時間や日数を減らして働く」、事務的な仕事に従事している者で「現在と同程度の就業時間や日数で働く」、運搬・清掃・包装等の仕事に従事している者で「必要がなければ働かない」、を指摘する者が多くなっている。高齢期に働く場合に、重視したい条件は、「通勤に便利なこと」が7割弱で最も多く、次いで、「休みが取りやすいこと」、「都合のよい時間や曜日に働けること」、「ストレスが少ないこと」、「これまでに経験のある仕事内容であること」、「身体的負担が少ないこと」、「慣れた職場環境であること」、「賃金に納得できること」、「手当やボーナスが充実していること」がこれに続いている。こうした重視したい条件は従事している仕事で異なっている。また、労働時間が長い者ほど、「賃金に納得できること」および「手当やボーナスが充実していること」、これに対して、短い者ほど、「通勤に便利なこと」および「都合のよい時間や曜日に働けること」を指摘する者が多くなっている。働く時間によっても(高齢期に働く場合に)、重視したい条件が異なっている。さらに、勤務先における非正社員の活用方針・活用戦略別にみると、「会社にとって、非正社員は戦力であるという方針を持っている」と考えている者ほど、高齢期に働く場合に、重視したい条件が広範囲に広がっている(図表)。と、「労働時間、休暇」、「仕事内容」は、「雇用の安定性」と「職場の人間関係」の四つに関しては、満足している者が多くなっている。これに対して、「賃金水準」に関しては、満足していない者が多くなっている。また、「研修、能力開発の機会」および「職場で期待されている役割、ポ仕事や労働条件に関する満足度についてみる49エルダー22・7%、「70歳ぐらいまで」が5・5%、「働59歳)非正社員WEB調査』を参照)を通して、特別寄稿

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