エルダー2023年1月号
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【参考文献】   (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(2021)『非   ) .jeedgo.jp/ederl注.l.ly/research/report/正社員」に対してどのような人事管理を行っているのかについてみると、企業は非正社員と正社員を別の制度で管理するという分離型の人事管理をとっていることがうかがわれる。そして、それがいま大きな変革を迫られている。それは非正社員の活用が拡大しているからである。量的な増加だけでなく、活用業務が補助的なものから基幹的なもの(正社員と同等の仕事をすることであり、「正社員でもまったく同じ内容の仕事をしている人がいる」が3割弱、「正社員でもほぼ同じ内容の仕事をしている人がいる」が4割強を占めている)へ拡大してきている。非正社員の戦力化や基幹労働力化の進展である。このようにみてくると、非正社員の基幹化が量的にも質的にも進んでくると、正社員と非正社員を分けて管理する分離型の人事管理では、非正社員の勤労意欲を引き下げ、離職率を高めることにつながりかねず、人的資源の有効活用が図られるかどうか問題になってくる。現在の勤務先の給与の評価について、あなたと同じ程度の能力を持つ正社員と比較して、「高いと思う」は2割弱、「安いと思う」は8割強であり、「安いと思う」が「高いと思う」を大幅に上回っている。また、現在の勤務先の給与の評価について、実際にしている仕事の内容に比べて、「高いと思う」は2割弱、「安いと思う」は8割強であり、「安いと思う」が「高いと思う」を大幅に上回っている。非正社員と正社員の間に責任の違いや勤務時間の自由度の違い、さらに、仕事内容の違いがないのにもかかわらず、正社員と非正社員の間に賃金格差が存在する場合には、非正社員の不満が大きくなっている。加えて、賞与・一時金については、5割弱の非正社員しか支給されておらず、支給基準は、「支給金額は固定されており金額は変わらない」も4割弱を占めている。こうしたことを考慮にいれると、第1に、非正社員に対して正社員と異なる人事管理を採用する(「分離型の人事管理」)場合には、企業が非正社員の活用方針を明確にすることと、それを非正社員と正社員に浸透させるための支援策を実施することが強く求められることである。つまり、「分離型の人事管理」をとる企業は「統合型の人事管理」以上に、非正社員に「なぜ非正社員と正社員の人事管理は異なっているのか」を納得してもらうための方策を強く打ち出す必要がある。第2に、非正社員の活用、特に質的な基幹化の程度に合わせて「分離型」の人事管理を再編し、非正社員と正社員を同等に扱う「統合型」の人事管理への移行が必要になってくる。その場合、非正社員の処遇制度を、その基盤を形成する社員区分制度と社員格付け制度の整備から始める必要がある。仕事レベルからみて非正社員には多様な社員が含まれているからである。領域で、統合型の人事管理にすることが、働き方のニーズが正社員とは異なる非正社員の活用・処遇に際して、必ずしも合理的ではないとも考えられる。特に、どのような仕事に従事してもらうのか(専門能力などを活かして正社員並に高度な仕事を担当してもらうのか、あるいは、高度な能力を必要としない定型的な業務を担当してもらうのか)と、どの程度働いてもらうのか(働く時間・日数・働く場所について、どの程度の柔軟性を持たせるのか)を重視して検討する必要がある。つまり、非正社員の活用にかかわる雇用管理(配置管理と労働時間管理)と、非正社員の労働意欲の維持・向上を図るための報酬管理との間の整合性を意識しながら人事管理の整備を進めていく必要がある。 https://www ここで取り上げた報告書の執筆に際して、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構鹿生治行上席研究役から協力を得ました。記して謝意を表します。正社員の人事管理とキャリア〜中高年(40〜59歳)非正社員WEB調査』(資料シリーズ4)しかながら、非正社員の人事管理のすべてのdocument/seriese4htm (51エルダー特別寄稿

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