エルダー2023年1月号
57/68

小■林■■■秀■■司■・小■田■木■朝■■子■著/フォレスト出版/坂■■本■■貴■■志■著/パワハラがない職場のつくり方仕事は自分ひとりでやらないほんとうの定年後ー「小さな仕事」が日本社会を救うー少子高齢化が進む日本では、労働力人口が激減して労働力不足がますます深刻になるといわれている。元気な高齢者の労働参加に対する期待は、今後あちこちで高まっていくだろう。高齢社員に戦力として長く働いてもらうための高齢者雇用に取り組む企業が増えている。そのかたちはさまざまで、40代、50代にとっては、「70歳まで働けといわれても…」と漠然とした不安を抱いている人が少なくないと思われる。本書は、定年後の仕事や働き方の実態について、さまざまなデータをもとに明らかにしている。第1部では、「減少する退職金、増加する早期退職」などの15の事実を浮かび上がらせ、第2部では、7人の定年後の就労者の事例を通して、年を取るにつれて仕事に対する姿勢がどのように変化していくのかを紹介。第3部では、社会が定年後の仕事に対してどう向き合っていけばよいのかについて提案している。本書にあるような、住み慣れた地域で短時間だけ働くといった「小さな仕事」が、これからは大きな意味を持ちそうだ。中高年齢者をはじめ、企業の経営者にとっても、多くの示唆を与えてくれる内容である。仕事を抱え込まず、周りに助けを求める技術「ヘルプシーキング」の教科書子どもが発熱した、家族が倒れたなど、だれにでも予期せぬことは起こり得る。そんなとき、一人で仕事を抱え込まず、周りに助けを求める行動は、「ヘルプシーキング」と呼ばれる一つのビジネススキルであり、個人、企業、組織・チームのレベルで使えるスキルだという。現代の職場は、子育て世代や親の介護世代、高齢者、障害者、病気治療中の人など、いろいろな状況下で働く人たちで構成されている。本書は、そのような職場などで、助け合いながら、チームで協力して成果が出せるよう、「ヘルプシーキング」の考え方やはじめ方、上手に使うためのテクニック、上手に仲間を助ける方法などについて、具体的に解説する。「ヘルプシーキング」を取り入れることで、「チームの生産性が上がる」、「突発的なトラブルで仕事が停滞、混乱するリスクを回避できる」など多くのメリットが得られるという。実践にあたって大事なことは、平常時から備えること。まずは、「必要な情報がオープンになっているか」、「業務ルールや進め方は適切か」などをチェックする。上手に仲間を助ける方法では、「業務量を減らしたい」とメンバーから相談を受けたときの対応の仕方などを示している。人材や働き方の多様性が進むなか、職場で起こるハラスメントも多様化している。また、労働者の3〜4割が、パワハラを経験したと感じているという。そうしたなか、改正労働施策総合推進法により、大企業は2020(令和2)年6月から、中小企業は2022年4月から、パワハラ防止措置(相談窓口の設置、社員研修の実施、調査体制の整備など)が義務づけられた。本書は、同法についてわかりやすく説き、対策についても解説している。一方で、労働トラブルが発生しない職場づくりのカギは「制度より風土」であると説き、パワハラを根絶させるためには、経営人事マネジメントそのものを変えなければならないという。その具体的な手法として、「人■■本■■経営」(人を大切にする経営)を提唱する。企業に関係するステークホルダー(社員とその家族、社外社員とその家族、顧客、地域住民、株主)の幸せの増進・増大を目ざす経営をいい、なかでも、第一に重視すべきは社員であるとしている。本書は、人本経営を実践してパワハラが皆無となった企業の実例や、人本経営を実現するためのプロセスなどを紹介。問題を根本から解決するためのノウハウを学ぶことができる。55人本社労士の会著/講談社現代新書/アニモ出版/2750円1540円1012円エルダー70歳までの就業確保措置が努力義務となり、定年後の働き方について多くの示唆を与えてくれる一冊問題を根本から解決するためのノウハウや実例を紹介現代の職場に役立つビジネススキルが身につく

元のページ  ../index.html#57

このブックを見る