エルダー2023年2月号
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本日は、労働寿命の延伸をいかに図っていくかについてお話ししたいと思います。ご存知のように、日本は超高齢社会を迎え、2025年には団塊世代のすべてが75歳以上となり、15年後の2040年には、15歳から64歳までの人々で構成される生産年齢人口が、2017(平成29)年に比べて約20%も減少すると予測されています。そこで、労働力をどう確保していくのかという問題が出てくるわけです。私は、二つの戦略を考えています。一つめは、働くことができる高齢者づくり。二つめは、労働生産性の高い高齢者づくりです。できれば2040年までにこれを段階的に進めていきたいと考え、具体的な取組みとして、4段階の構想と、各段階の戦術を考えました。この構想を4階建てに見立てたのが図表です。1階部分が構想の第1段階で、ここでは「個人・企業の戦術」として、エイジマネジメントに基づく健康資源の確保を図ります。第2段階は「職場の戦術」で、職場改善による負担軽減と生産効率の確保を図ります。第1・2段階により、働くことができる高齢者づくりが進むと考えています。第3段階からは、労働生産性が高い高齢者づくりとなります。第3段階は主として「企業の戦術」、第4段階は「行政の戦術」という構想です。第3段階で私が企業に提言しているのは、暦年齢での評価ではなく、労働適応能力(ワークアビリティ)に応じた人事評価をしていくということです。現存のワークアビリティ評価は、健暦年齢での評価ではなく労働適応能力に応じた人事評価を基調講演働く高齢者の健康と安全確保のためのエイジマネジメント〜労働寿命の延伸策を探る〜+まろさる 神く代し雅ま晴は産業医科大学名誉教授2023.218労働生産性が高い高齢者づくり働くことができる高齢者づくり資料提供:神代雅晴氏4階行政の戦術3階企業の戦術2階職場の戦術1階企業の戦術個人の戦術標準職務能力評価の設定労働適応能力評価仕事対処能力評価改善による負担の軽減と生産効率の確保エイジマネジメントに基づく健康資源の確保図表 労働力確保のための4段階の構想働くことと長くつきあうことができる方法労働適応能力の向上と労働寿命の延伸を図る戦略

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