エルダー2023年2月号
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産業保健活動や職場での取組みも必要だと思います二つめに取り上げるのは、「20代のBMIから40歳時のメタボ判定を予測できるのか」です。これは、生活習慣病を予防するためには、メタボリックシンドロームに陥らないようにする取組みが重要である、という問題意識から研究したもので、その報告となります。とともにだんだんお腹周りが大きくなり、体重はなかなか減らず、どんどん増えていく人は少なくありません。だからこそやはり、BMIの管理がメタボ予防につながっていると考えます。BMIは、体重と身長がわかれば計算できます。では、BMIからどれぐらいの精度でメタボを予測できるのでしょうか。分析のモデルは、2002年から2019年の定期健康診断データで、2019年時点で40歳の男性(422人)から、初めてメタボと判定された方を抽出したところ、313人でした。この方々のBMIのデータをさかのぼり、最初の2002年度のBMIをベースラインBMIとして、3年、5年、10年後の増加量に着目し、どれぐらいの精度で2019年のメタボ判定が予測できるのかについて分析しました。分析の結果、BMIが23・5より高い人はメタボ判定されやすくなることがわかりました。では、低ければよいのかというと、痩せていたのにメタボ判定される場合もあります。「昔は細かったのにね」という人です。そういった人に対しては、BMIの増加量に着目して、5年間のBMIの増加が1・6を超えた場合に、メタボ判定されやすくなることが予測できます。また、40歳でメタボになりそうなことは、36歳ぐらいのときにある程度の精度で予測が可能です。これも重要な知見でしょう。太らないようにリスク管理をしていく数字としては、36歳時点のBMI25・5が境界値となります。二つの報告をまとめると、健康診断の有所見割合が増えるのは、男性の場合、20〜30代です。大事になってきます。20代のBMIから40歳時のメタボ判定を予測できるかというと、BMIが23・5以上あった場合にハイリスクであり、ターしていきましょう。メタボが予測された場合、私たちは「プレメタボ」と呼んでいますが、何かしらの働きかけを行っていくことが大事ではないかと考えています。研究結果をアップデートしていき、また、ストレスチェック、両立支援、労働寿命、エイジアクション100、エイジフレンドリーガイドラインなども含めて、各企業などに持ち寄っていき、エイジマネジメントモデルを充実させていくことが、これからの日本社会にとって大切なことだと思います。私たちも、研究、分析結果を積み上げていって、エビデンスを示し、見えるように努めていきますので、これからもご支援をよろしくお願いいたします。エイジマネジメント施策として、こういった。20代、30代のBMIからエイジマネジメントモデルを充実させていくことが大事23・5未満の場合には5年間の増加量をモニ ➡ 20代・30代(男性の場合) ➡ 20歳時のBMIが23.5以上でハイリスク ➡ 20歳時のBMIが23.5未満の場合は5年増加量に注意40歳時のメタボ判定を予測するには、BMIが20歳のころはスタイルがよかったのに、加齢25■健康診断の有所見割合が最も増える年代■ 20代のBMIから40歳時のメタボ判定を予測できるかエルダー特集2生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム〈福岡会場〉図表 本報告のまとめ40歳時のメタボ判定を予測する

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