エルダー2023年2月号
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・・るのか、まったく情報がありませんでした。そこで、制度の具体化にあたり福岡県プロフェッショナル人材センター※1に相談し、2021年7月、福岡県と『人材活用の推進に関する連携協定』を締結して、地域の会社の困りごとの情報を教えていただくということからはじめました。会社の抱えている問題を解決する仕事としてコンサルタント業がありますが、コンサルタント業との違いは、大きく三つあると思います。一つめは、地域密着ならではの現地、現物での支援であること。二つめは、短期間ではなく、近くにいて長い間伴走して行うこと。三つめは、プロではないということ。ですので、できるだけリーズナブルな価格でお手伝いすることを特徴としています。地域のパートナー制度の概要は、主に次の通りです。契約形態は、当社と相手先企業との業務委託契約。契約期間は、原則として6カ月単位(更新あり)。想定派遣人財は、原則として、社外兼業を自ら希望する弊社のミドル・シニア層。支援業務は、事業運営や業務プロセス改善などへの助言・支援(課題問題の見える化からでも可)、特定の課題やプロジェクトなどへの参加・助言・支援などです。何でもできるわけではありませんので、いろいろいただく困りごとのなかから、できることを選んで取り組んでいるのが実情です。費用は、原則として、月額額。支援の頻度は、おおむね週1〜2日程度を目安(支援先と協議のうえ、柔軟に対応可能)とし、残りの週4日間ほどは社内で仕事をしています。2021年7月に制度を立ち上げてから、7人の社員がこの仕事に就いています。福岡県プロフェッショナル人材センターが窓口となっていて、制度利用の希望がある場合、まずは人材センターへご連絡いただき、ご要望などをヒアリングして企業情報シートが作成され、弊社に提供していただきます。それを受けて、弊社の地域のパートナー制度事務局担当者がその企業を訪問してご要望の詳細をヒアリングし、社内の社外兼業希望者へ情報展開して支援の準備を進めていく、という流れになります。最後に、この制度で実際に取り組んでいる三つの事例を紹介します。いずれも60歳で定年を迎えた後、再雇用となり仕事をしている社員です。制度が立ち上がってすぐですので、支援先は、経験したノウハウを活かせる製造業の会社が多く、ここに紹介する事例も製造現場です。器等製造業への支援です。支援内容は、作業分析・作業効率向上、品質二つめの事例は、従業員約300人の農業用運搬車・草刈作業車等製造業への支援で、支援内容は製造工程の生産性向上、2S※2定着助言、安全対策など。三つめの事例は、従業員約110人の精密板金機械加工は、部品置き場・供給方法効率化、改善点の洗い出しなどです。話を聞いたところ、共通していたのが「当初は、本当に役に立てるのか不安だった」ということです。こうした不安を解消するためにも、契約段階で何回か支援先に行き、経営者の方とお話ししたり、先方で一緒に課題解決に取り組んでいただく社員の方を決めていただき事前に会って話をしたりと、マッチングに時間をかけて取り組んでいます。そうして、先方の会社で受け入れていただき、3人とも6カ月の1クールが終了し、2回目の契約をして、いまでは「日々学び、職場で実践してきたことが、役に立つことを実感している」、「やりがいを感じている」という声が聞かれています。会をいただきまして、ありがとうございました。※1 福岡県プロフェッショナル人材センター…… 地域に新たな質の高い雇用を生み出し、「ひと」と「しごと」の好循環を創出していくことを目的とした内閣府事業一つめの事例は、従業員約50人の住宅設備機実際にこの制度で活躍している3人の社員に本日は、弊社の取組みについてお話しする機検査能力向上など。製造業で、支援内容7人のシニア社員が支援先へ改善や生産性向上などに取り組む10万円の業務委託報酬プラス交通費等実費相当27※2 2S……整理、整とんのことを推進する福岡県の拠点エルダー特集2生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム〈福岡会場〉

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