エルダー2023年2月号
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本日は「壁」とか「阻む」とか、ちょっとネガティブな印象の話題を準備してきました。エイジマネジメントを阻むものは、会社全体のなかにあります。例えば、経営者の考え方、感じ方、あるいは労働者、人事部門の立場で日ごろ行っていることが、逆に支障になっていることや、組織や会社全体の視点で考えた場合にどんな問題があるかという話をしたいと思います。事業者側の率直なご意見の例として、厚生労働省の「エイジフレンドリーガイドライン」は多岐にわたる内容をやさしくカバーしている内容ですが、事業者の方から、「これは義務でしょうか」と聞かれます。あまり手がけたくない、という率直な気持ちが含まれているように思わ設計に関して、「仕事を見直すより、熟練の技があるか、これからもそれが使えるかどうかがポイント」だといわれます。生涯現役という人事制度に対しては、「世代ごとに制度設計を変えていくのはとてもむずかしい」という意見があります。処遇や雇用を変更することについては、「個別の処遇の見直しはハードルが高い」という声が少なくありません。安全管理、人事労務管理、そして部下として高齢労働者を持つ各管理職の立場で考えると、「縦割り」組織の弊害のようなものを実感することがあります。本来、安全衛生・健康管理は一体で行うべきですが、異なる部門が行っていてコミュニケーションが取れないとか、人事労務管理と必ずしも連携しておらず情報交換ができていなかったり、各管理職も目標を設定して生産高齢で働くという問題に関しては、健康管理、エイジマネジメントを阻■むものは会社全体のなかに存在している講演④生涯現役への壁〜エイジマネジメントを阻むもの 亀か田だ高た志し株式会社健康企業れてなりません。細かく法令を説明すると、「努力義務とは、必ずやらなければいけないものではないですよね」という反応が返ってくるのです。また、高齢になると病気を抱える確率が高くなることについて、「病気を抱えた高齢者を雇った場合のインセンティブはありますか」と聞かれたこともあります。一方で、講演や研修で私の話を聞かれるのはまで働きたいですか」とたずねると、「60歳まで」が2割前後、「65歳まで」が半分強、「70歳まで」は1割程度で、「75歳〜生涯現役」はほぼ0です。「どんどんゴールが逃げていく感じがしていやだ」、「あまり考えたくない」という声が、現場の声としてあるのです。人事部門の方々からよく聞くのは、職務の再代表取締役社長■ めか40〜50代の管理職の方が多いのですが、「何歳2023.228

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