エルダー2023年2月号
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神代 はじめに、本シンポジウムのここまでの内容をふり返りたいと思います。まず、私から総論として、働くことと長くつき合うことのできる高齢社員づくりに関してお話をしました。そして4人のパネリストのみなさまの講演については、それぞれから講演をふり返って、ポイントを簡単におさらいしていただければと思います。私からは、産業医の立場でエイジマネジ赤津 メントに取り組むにあたって、どのような視点で取り組んでいけばよいのかについてお話ししました。産業医としては健康管理の視点に加えて、職場をよく理解し、一緒に職場の課題を考えることが仕事の進め方の基本になります。また、労働者に対しては、加齢による変化を本人に理解してもらうとともに、そのうえでダメージを補っていくことや、仕事と治療の両立支援などの取組みも重要になってきます。そのための支援を一緒に行うのが、エイジマネジメントにおける産業医の役割といえます。企業に対しては、加齢による変化について、健康の観点から整理して伝えること、そして、それらに起因する課題を乗り越えて働くための職場の課題などについて一緒に考え、その対策について、医療の立場からも支援していくことができるのではないかと思います。さらに、役職定年などにより働くことへのモチベーションが大きく変わってくるといった課題についても、職場の方と共有しながら解決を支援していくことも必要です。このようなことが、産業保健の立場からエイジマネジメントでかかわることのできる大事なポイントではないかと思います。樋口 では、「20代からのエイジマネジメントの取組みも大事である」という点についてお話ししました。これを考える際に着目する点として、会社で実施される健康診断の有所見割合が一つの目安になります。を対象としたメタボ健診が義務づけられ、10年以上が経過していますが、これからは、「40歳になってから痩せる」のではなく、それ以前の取組み、いわば「プレメタボ」に対する取組みが必要になるのではないかと考えています。そこで、20代のBMIから40歳時のメタボ判定を予測できるかという研究結果をもとに、20代のBMIが23・5以上の場合はハイリスクとなること、また、23・5未満であっても5年間のB私からは、生涯現役を目ざしていくうえまた、生活習慣病予防の観点から、40歳以上四つの視点からエイジマネジメントを考えるパネルディスカッション働く高齢者の健康と安全確保のためのエイジマネジメント2023.230

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