エルダー2023年2月号
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いると認めていただけているとみています。心配事や苦労もありましたが、7人の社員と、支援先の7社の方には、いろいろな貢献ができているのではないかと思います。互いに外を知ることによる交流の効果と神代 いうものが、出てきたということですね。副業の実施に際して、派遣する社員の健康面や安全確保面に関して、何か配慮されていることはありますか。現在は、支援先での仕事を週1日とし、杉山 週4日は社内で働いているので、いまのところ特別な配慮は行っていません。支援先企業とは、事前に綿密に打合せをしているので、働く環境に不安のある職場はないというのが実情です。神代 では「地域のパートナー制度」から少し離れて、高齢社員の継続雇用を進めていく際、トヨタ自動車九州では、健康管理や安全確保にはどのような対応をされているのでしょうか。高齢社員にかぎらず、社員全体への対策だと思いますが、そのあたりのことも教えてください。杉山 おっしゃる通り、高齢社員だけを対象とした対策というものはなく、全社員に対して、安全と健康が第一、その次に品質、その後に原価と考えて仕事に臨むよう呼びかけています。安全と健康が第一という優先順位は不動です。安全の確保の具体的な取組みとしては、製造業の場合、新しい作業が発生する際は、必ずリスクアセスメントを行い、リスクの高い作業については事前に対策を行います。また、要素作業ごとに、「エルゴノミクスガイドライン(人間工学指針)」というものを持っています。例えば、重いものを持つときの重量制限を決めておくといったようなことを徹底しています。健康の維持・増進の面では、工場で働いている社員は、始業前に体操を行っているのですが、その体操の内容について2年ごとに見直しを行い、下肢の筋力を維持する体操など、年齢とともに低下していきそうな筋力を維持できるようなメニューに変えています。神代 トヨタ自動車九州の「地域のパートナー制度」について、パネリストの方々からは質問はありますか。赤津 法では、70歳までの就業機会の確保が努力義務として盛り込まれました。この点について、トヨタ自動車九州ではどのようなお考えがあるのかをお聞かせください。杉山 考えると、65歳以降は社外で就業機会を提供していくことを検討しています。65歳までの直接雇用とは仕事の内容も就業場所も産業保健サービスも変わると思いますので、まだこれから考えていかなくてはという段階です。樋口 て、非常に魅力的な制度だと思いました。私からは、いまの20代、30代の人たちは職業的な安定を求める一方で、離職率の高さの問題も指摘されています。そういったなかで、いまの若い世代が70歳まで働く社会に向けてのお考えや取組みがあれば教えてください。杉山 強く感じます。若い人を採用することが、これからはどんどんむずかしくなっていくと思いますし、すでに厳しくなってきています。変化が激しい時代ですので、企業としては新しいことを行っていかなくてはいけません。そのために2021年施行の改正高年齢者雇用安定現在の65歳までの継続雇用制度を前提に「地域のパートナー制度」のお話を聞い人事を担当していると、少子化の影響を少子化時代の企業のあり方33福岡教育大学准教授の樋口善之氏エルダー特集2生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム〈福岡会場〉65歳超の就業機会の確保と

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