エルダー2023年2月号
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生涯現役で活躍できる看護職人材不足の解消に向け高齢人材のさらなる活用へ看護職員の就業総数は2019(令和森内 元)年時点で約168万人です※1。戦後一貫して増加してきましたが、20代の就業者数が伸び悩み、最近は頭打ちの傾向にあります。一方で40歳以上の就業者の比率が徐々に高まり、平均年齢は2020年の推計で44歳を超えています。すでに60歳以上の就業者は20万人に迫り、全体の11・8%を占め、ほぼ9人に1人となっています※2。少子化により18歳人口が減少を続けるなかで、若い人材を看護業界に迎え入れることが、以前よりもむずかしくなると見込まれています。また、高齢社会の進展にともない、保健・医療・福祉分野での看護ニーズが多様化・複雑化し、今後もその傾向はさらに高まる見込みです。病院完結型医療から地域完結型医療に転換されていくなかで、疾病や障害のある人が住み慣れた地域でその人らしい生活を送るには、それを支える看護が重要になります。看護の仕事は人の命を預かる責任の重い仕事です。24時間365日を通じて対象の命や健康を守り、ご家族を支えています。たいへん働きがいのある仕事ではありますが、看護職の9割が女性です。結婚、妊娠、出産、子育てなどの理由や、自身の健康を理由に退職する人も一定数います。さらにコロナ禍が拍車をかけ、多くの看護の職場は人材不足を感じています。森内 のもっとも身近なところで観察を行い、コミュニケーションをとり、体位変換や移送、身体の保清などの療養上の世話、さまざまな苦痛の緩和などに努めてきました。コロナ禍コロナ禍においても看護職員は、対象による行動制限が社会全体で緩和傾向にあるなかでも、看護職員は厳しい環境のなかで仕事をしています。し安心して働き続けられる環境づくりを推進する」を掲げ、看護職の働き方改革を推進しています。今後、若年層の大幅な増加が見込めなくなるなかで、国民にとって安心・安全な看護を提供していくためには、看護職が健康で働き続けられる持続可能な働き方の実現と、これを支える職場環境の整備が喫緊の課題です。夜勤や交代制勤務による心身の負担を軽減する勤務のあり方についても取り組んでいるところです。と質、両面の確保のためには、看護職の高齢人材の活躍は欠かせません。医療が高度化、複雑化しているなかで、看護職は専門職として専門性を磨きキャリアアップすることが、とても重要なことですが、看護の現場は、活躍する領域が非常に広く、そこでの役割も多様で多彩です。年齢にかかわらず、仕事の内容や働き方を選べば、生涯現役で活躍できるのが看護の仕事の強みでもあります。本会は使命の一つに、「看護職が生涯を通一方で、これからの看護のマンパワーの量―医療・看護業界では人材不足が大きな問題となっています。看護職の人材不足や高齢化の現状について教えてください。―コロナ禍で、たいへん苦労をされながら職務を遂行している看護職の人たちが報道されました。働き方改革や人材不足に向けた取組みも進んでいますか。―貴協会では、2022年3月に『プラチナ公益社団法人日本看護協会 常任理事森内みね子さん2023.22※1 『令和2年 看護関係統計資料集』(日本看護協会出版会)より※2 『衛生行政報告例』(厚生労働省)より  

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