エルダー2023年2月号
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ケースが多くあります。年下上司にとっては心理的にマネジメントしづらいことが容易に想像されますが、避けては通れないプロセスでもあります。この役割をしっかりと遂行することが求められます。そこにおいて重要なポイントは3点あると考えられます。①高齢社員も〝教育対象者〟という認識を持つ新人研修や管理職研修は行うものの、その他は手つかずになっている、ましてや高齢となれば「過去の経験で何とかなるだろう…」、「ベテランなので必要ないか…」というように、教育対象から外されるケースが多くあります。しかし、立場や環境は変化している、また当然ながら世の中は常に変化していく、ということをふまえると、当然ながらこの段階で相応の努力が必要となります。そうとらえるなら、エネルギーをかける割合はあるでしょうが、高齢社員にも適切な教育は欠かせません。高齢社員本人にも、過去の知恵や経験によって残して来た成果だけにこだわるのではなく、ここから新たな未来をつくる心構えが大切だと理解してもらいたいところです。近年では「リスキリング(学び直し)」という言葉が流行してきていますが、ある調査では、大企業を中心に約8割の企業が「余剰人員の活用」が今後重要になってくると回答しています※3。そして、高齢社員はいずれの企業においても余剰人員化するリスクを抱えていると考えられるため、「高齢社員教育」はますます重要なテーマになってくることでしょう。②会社、部門の課題共有化を図る改めて、シニア層に対しても会社が積極的に教育の場を提供することで期待を寄せていることを伝え、そして自分が向かう今後の道筋を高齢社員自身もイメージし、それを真剣にやり切ろうとする姿勢を持たせることが大切です。特にポストオフなどの大きな環境変化が発生するタイミングでは高齢社員として、これまでとは異なる目線から組織課題を明確にすることも重要です。会社サイドとしては、今後の市場動向の変化にどう対応していくか、といった根本的な方向性を高齢社員の上司である管理職者との間で共有し、新たな動機づけを図っていく必要もあります。立場的に一線から外れ、会議にも呼ばれなくなった、といった状態であれば、人知れず疎外感に苦しんでいるかもしれません。そのような心理状態時に「一緒に○○という目標に向かって進んでいただきたい。そのなかで、△△の役割をになっていただき、一緒に成果を導き出していただきたい」と言葉で伝え、相互理解が促進されれば、高齢社員にとっての新たな一歩をふみ出すきっかけになるでしょう。③年上部下との協働力を強化する高齢社員の関係性を強化していくことが求められます。例えば、1on1ミーティングやフィードバック強化などを日々のなかで行い、高齢社員の自己肯定感を再び醸成させることがポイントになってきます。とあきらめ、停滞感を払拭できないままに過ごしている場合があります。「キャリアプラトー」という言葉がありますが、天井にまで行き着いた状態で、伸びしろがないようなイメージをさします。法を身につけることで「次のステージ」が開かれていきます。そのためには年下上司が高齢社員のマインドセットを図り、高齢者だからこそ可能な貢献を果たすことが期待されます。ントや教育の進め方についてもさまざまな手法がありますが、企業の現場ではあまり知られておらず、実践できているところも少ないのが実情です。次回以降はこうしたノウハウの具体例を織り交ぜながら解説していきたいと思います。※3 「『大企業人事の人材活用』に関する意識調査」(2021年11月実施/シェアエックス株式会社・ユームテクノロジージャパン株式会社)より上述のような切り口をベースに、年下上司と高齢社員のなかには「これ以上の成長はない」しかし、立場や環境の変化に応じた視点と方このように、年下上司に求められるマネジメ高齢社員活躍のキーマン45エルダー管理職支援をはじめよう!管理職支援はじめよう!

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