エルダー2023年3月号
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みは、人生100年時代の実力終身雇用という考え方に基づくものです。事業が少し下向きになってもリストラはせず、適材適所の考え方で新しい事業への人材を社内で育てて再配置していきます。事業は時代によって変化していきますので、それに合わせて社員も変化・変身していかなければなりません。そのために、人材を創出し、再教育して社内転職を図り、会社全体として生産性向上と戦略的な大転換を果たしていくことを目ざして取り組んでいます。自律的なキャリア形成は、「キャリアマッチング制度」(社内公募制度)をメインにして取り組んでおり、主に四つの特徴があります。一つめは、未経験者でも応募できること。これを補完するため、通常のキャリアマッチング制度に加え、研修とセットにして社内公募ができる「研修型キャリアマッチング制度」があります。二つめは、社内公募のなかに「50代おすすめ職種」を設定し、この世代の応募をうながしていることです。三つめは、50歳を迎えた社員に、「クリエイティブライフセミナー」を行っていることです。当社の定年は60歳で、定年後の再雇用では役職がなくなります。そこで、このセミナーは、これまでの自分のキャリアをふり返るとともに、これからのキャリアや再雇用後について考える機会を提供するものと位置づけています。四つめは、社内公募に合わせて、「キャリアカウンセリング」を行っていることです。応募すると、最初に社内カウンセラーのカウンセリングを受け、これまでに積み上げてきたスキルや経験、自分の強みなどを整理したうえで、選考に臨むことができます。通常のキャリアマッチング制度に応募した場合、応募→キャリアカウンセリング→審査→選考→再配置となります。これが、「研修型キャリアマッチング」では、応募→キャリアカウンセリング→審査→選考→研修となり、研修のなかでもう一度キャリアカウンセリングを受け、その後に再配置していくという流れになっています。キャリアマッチング制度の応募者は年々増えてきており、今年も過去最高の応募数となる見込みです。合格率はおおよそ40%前後で、応募者を職種別にみると、53%が技術系、26%が事務系となります。年代別では40代が35%、50代が31%、30代が22%です。キャリアをふり返って新しいことにチャレンジする社員が、40代、一方、研修型キャリアマッチング制度では、ソフト開発などのソフト関係の職種や装置関係、品質部門・経理部門などの職種を募集しており、約6年間の累計で500人ほどが職種転換を図っています。と「適性」です。この2点が揃わないと、新しいことに挑戦するのはむずかしいので、選考ではこの2点を特に重視しています。持った社員を支援する」という考え方のもと、学び方改革、教え方改革に取り組んでいます。取組みで、研修を「いつでも」、「どこでも」、「何度でも」受けられるよう、週末開催、定時後開催、オンライン開催を行っています。また、研修内容の質の向上のため、コンテンツの開発力、講師の力、編集力の向上にも注力しています。身雇用の考え方をベースに、自ら新しい職務にチャレンジする社員に、会社が強化したい職種とその仕事に就くための教育機会を準備して、職種転換を図る取組みです。「変化は進歩」、「変身は前進」ということを常に意識し、今後100年、200年と発展し続ける会社になるよう、今後もさまざまなことに取り組んでいきます。これらの社内転職のポイントは、「やる気」人材育成については、「自ら成長する意欲を学び方改革は2017(平成29)年に始めたキヤノン流の自律的キャリア形成は、実力終自ら成長する意欲を持った社員を教育と社内転職の機会で支援する2023.31250代に多いという特徴がみられます。

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