エルダー2023年3月号
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生涯現役社会の実現に向けた自律的キャリア形成について今野 本日は、自律的なキャリア形成について、シニア層のことも念頭に置きながら議論をしていきたいと思います。はじめに、なぜ社員に自律的なキャリアを求めるのか。この点からお聞きしたいと思います。キヤノン株式会社の小島さんからお願いします。自律的なキャリア形成を社員に求めるメ小島 リットは、大きく二つあると考えています。一つは、本人の生産性、パフォーマンスが上がり、それが部門のパフォーマンスにも影響していくという点です。もう一つは、「やりたい仕事が会社にない」、あるいは「この会社ではできない」となると、退職してほかの会社で働くという選択肢が生じてきますので、そこにリテンションをかける、という意味でもメリットがあると思います。今野 パフォーマンスを上げるためには、よい仕事を任せるという方法と、やりたい仕事をできるようにするという、二つのルートがあると思います。昔は比較的、前者の傾向が強かったのですが、本日ご登壇いただいた3社の事例発表では、共通して「やりたい仕事をしてもらうほうがパフォーマンスが上がる」ということでした。なぜ、このルート変更があったのでしょうか。小島 いろいろ悩むことはあるのですが、できれば「やりたい仕事に就いて活き活きと働いてほしい」という考え方がいまは大きくなってきています。また、退職者を増やしたくないという視点もあります。今野 ありがとうございます。損害保険ジャパン株式会社の髙田さんは、いかがでしょうか。髙田 に舵を切ったのは、健全な危機感からだったと思います。少子高齢化や社会環境の変化などから、働き手、個人、消費者の価値観も変化し、ビジネスのあり方も劇的に変わってきています。先が読めないなかで、持続的に成長し価値を生み出し続ける企業活動を行っていくためには、自らが主体的に何かを生み出す、そんな内発的な動機に突き動かされる人材をしっかり育てて、キャリアを形成していかないと、企業の生き残りそのものが危ぶまれるのではないかという危機感がありました。今野 いくことをしてもらわなくてはいけない。そのためには自律的にキャリアを積むことを考えてもらう必要がある、ということでしょうか。当社が自律的キャリア形成を求める方向変化の激しい時代には、価値を創造してパネルディスカッション「生涯現役社会の実現に向けた自律的キャリア形成」自律的キャリア形成を社員に求める理由と背景令和4年度生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム特集生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム〈東京会場〉17エルダー11月1日 

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