エルダー2023年3月号
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ための取組みを各発表のなかでお話しいただきましたが、特に重要だと思われていることや、取組みを進める際に生じた課題などについてお話しいただきたいと思います。小島さん、いかがでしょうか。小島 当社の場合、社内公募制度の一つで、未経験者でも応募することができる研修型キャリアマッチング制度が、いま、たいへんうまく機能しています。選考面接を行うと、応募した社員は目をキラキラさせながら、「こういうことがやりたい」と話してくれます。会社に貢献していきたいという、そういう思いを伝えてもらえる場にもなっています。そこで、未経験者でもチャレンジできる仕事を、どんどん増やしていきたいと思っています。今野 仕組みとしては、求人情報があって、それを見て、手をあげる。でも、スキルが足りないから研修を受けるという流れですね。はい。求人情報は、普通の社内公募は2小島 500ほどあるのですが、研修型キャリアマッチング制度では10職種ほどで募集しているという状況です。髙田さんはいかがですか。今野 髙田 一つは、当社のパーパス経営、「マイパーパス」ということかと思っています。やはり自律的キャリアを考えていくときには、まず「自分は何者なのか」、「何を成し遂げたいのか」が定まらないと、そもそもキャリアを考えることはできないと思っていますので、まずはマイパーパスをしっかりと言語化する。この取組みを大切にして進めています。もう一つは、そこから自分がキャリアを実現していくための学びや、実現するための制度として、事例発表でもお話しした「SOMPOクエスト」と、「ジョブチャレンジ制度」のなかのリモートチャレンジコースで、いずれも社員からの提案から生まれてきたものです。その声を形にして、少しずつ育てており、そういった取り組み方も重要なことだと思っています。マイパーパスの言語化について「私にも今野 できるだろうか」と思いながら聞いていました。言語化するためのコツはありますか。髙田 最初のころは、会社の経営計画の写しみたいなものを書いてきたというケースもありました。そうではなく「こういう思いはいつからあったのか」、「どういう体験がきっかけになったのか」などを話すパーパスの共有会みたいなものを行ったり、上司と部下との1on1などを通じて、原体験を深掘りしていきます。そうした対話が重要なのかなと思います。今野 大塚さんは、いかがでしょうか。大塚 社員の自律的なキャリア形成というこ特集生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム〈東京会場〉19◎創業 1937年◎業種 精密機器製造◎社員数  (単体)25,377人(2021年12月末日現在)◎特徴的な高齢者雇用の取組み 定年60歳、希望者全員65歳まで再雇用。50歳到達時の社員に対し、自らのキャリアをふり返り、定年・再雇用などに備えるための「クリエイティブライフセミナー」を実施。新たなチャレンジの仕組みとして、社内公募制度を設けている◎創業 1888年◎業種 損害保険業◎社員数  22,537人定年60歳、希望者全員65歳・基準該当者70歳まで再雇用。社員と会社は「選び、選ばれる関係」になっていくと考え、自律的キャリアを実現する人事制度を整備。シニア世代のセカンドキャリア支援策としては、新たに「シニアリスキリングプログラム」をスタートした◎創業 2012年◎業種 サービス業◎社員数  350人(2022年4月現在)◎特徴的な高齢者雇用の取組み 定年60歳、希望者全員65歳まで再雇用。ソニーグループに定着する「自分のキャリアは自分で築く」というポリシーのもと、ベテラン社員のキャリア自律を支援するプログラムを整備。「新しい分野への挑戦の支援」、「学び直しの支援」、「シニアインターンシップ」などの取組みを実施している 企業プロフィール(2022年4月現在)◎特徴的な高齢者雇用の取組み(東京都大田区)エルダー(東京都新宿区)(東京都港区)キヤノン株式会社損害保険ジャパン株式会社ソニーピープルソリューションズ株式会社

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