エルダー2023年3月号
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年後の働き方を変化させていくことを求めていきます」旧制度では、60歳定年時にグループ会社のアドニス株式会社に転籍してもらい、65歳までは嘱託社員として契約。プロパーで定年を迎える社員は毎年10人ほどで、66歳以降は個別雇用契約を結び、ほとんどの人が仕事を継続していました。新たな制度は、そうした実態にあわせて制定したもので、60歳となる年度末でアドニス株式会社に転籍後も、65歳となる年度末まで正社員として個別雇用契約を結びます。66歳となる年度以降は、嘱託社員として契約します。定年年齢は60歳で、これは変更していません。大きく変更したのは「65歳までは正社員である」としたことです。61歳年度からは「マスター正社員」、66歳年度からは、1年ごとに契約を更新する「マスター嘱託社員」として、評価基準に照らし問題がなければ継続雇用を行う制度です。また、定年後も年2回の人事考課を継続し、「マスター正社員」は昇給・賞与を、「マスター嘱託社員」には賞与を支給しています。簡単にいうと「戦力になっている人には、ずっと働いていてほしい」ということです。やる気があるかどうかもみて、評価・処遇にもメリハリをつけたほうがよいという考え方から、マスター正社員、マスター嘱託社員ともに、半期ごとに目標設定をして管理し、人事考課をしていく制度になっています。退職金は、60歳に達した年度末での支給に加え、継続雇用終了後にも支給する第2の退職金という仕組みをつくりました。働き方は、正社員と同様に時差出勤や短時間勤務、テレワークを選択できます。また、当社では1999(平成11)年に年功序列をやめて、成果主義的な制度へと大きく変えたときから、「役職」に代えて「人材区分」というようになりました。60歳定年以降の人材区分はなかったのですが、新制度では65歳までを正社員としたので、新たに「熟達者」という区分をつくりました。大きく、「熟達者Ⅰ(定型労働型)」、「熟達者Ⅱ(現業継続型)」、「熟達者Ⅲ(専門性発揮型)」に分かれています。ラインの管理職をしていた社員はだいたい熟達者Ⅲ、いわゆるマネジメントの補佐的な役割に移っていきます。現業を継続していく社員は、基本的には熟達者Ⅱになります。一方、60歳を過ぎたら、ワークよりライフのほうを中心にしたいと希望する社員は熟達者Ⅰになります。また、モチベーションを上げる施策として、「出来高払いオプション」という仕組みを設けました。実力がある人は66歳を過ぎても、例えば、社内外講師や、グループ会社や子会社などで技術指導を行うなど、さまざまな活躍の場を広げているので、そういう人には給料とは別に出来高払いオプションを設定しています。「マスター嘱託社員(66歳〜)」は、評価基準を満たした場合のみ無期限の継続雇用制度の対象となります。評価基準の一つは、人事考課(7段階評価)において、直近1年間の勤務評定がBランク(4段階目)以上であること。二つめは、産業医による直近の健康診断のデータ確認と面談を行い、就業上支障がないと判断されること。三つめは、仕事に対する意欲などをアンケート方式でたずね、キャリアアドバイザーと面談する「キャリアドック」を受けてもらうことです。ほかにも、懲戒処分がないこと、人材区分別職務給に同意することなどの基準を設けています。めにも、2021年からは57歳以上の社員にキャリア研修を実施しており、徐々に研修の対象年齢を若くしていこうと考えています。仕事ぶりを評価する人事考課を継続し成果に見合った賞与も支給マスター嘱託社員(66歳〜)の契約更新は勤務評定Bランク以上などの基準を設ける2023.32460歳以降の働き方を主体的に選択していくた

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