エルダー2023年3月号
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e lItiれ※、企業にとって新卒者の採用はさらに競争途採用と同じ感覚です。一律に給与を下げることはしません。重要なポイントは、「貢献度」に応じた評価を毎年実施することです。希望者は第二の定年である70歳まで「正社員」として働くことができます。当社は完全年俸制ですので、60歳未満の社員と同様、1年に1回、評価・査定を行い、成果に応じて報酬が変わります。これにより働く人たちのモチベーション低下を防ぎ、優秀な人材の確保を図ります。なお、60歳以上の社員が同じオフィスで活き活きと働く姿が、若い社員の模範となっていることを強く感じています。この定年延長制度に取り組んだ背景には、人材確保への思いが大きくあります。2030年には644万人の労働力人口が不足するといわが激しくなるでしょう。そうしたなかで、経験豊富な人材を手放すことは、人材確保の観点では絶対に損です。経験、スキル、企業文化などを長年支えてきた人たちを継続雇用していくことが、生産性の向上につながると判断しました。定年延長制度の導入にあたって、グループ各社からは反対の声もありました。もっとも大きかったのは「人件費が増える」、「コストがかさむ」という意見ですが、これは間違いです。なぜなら、65歳の人に支払う人件費も、30歳の人に支払う人件費も、同等価値だからです。つまり、一人の人材の生産性に対して適正な評価・査定を行い、適正な報酬を支払う。それで総額人件費とヘッドカウントをコントロールできれば人件費は上がりません。この説明をグループ内でていねいにくり返し、制度を導入しました。大切なことは、評価・査定をしっかり行うこと。そして、それぞれの年齢に応じて、できる仕事を増やしていく、能力開発をしていくこと。そういう環境を整えていくことが重要です。現在、60代の継続雇用の正社員で、インサイドセールス(オンラインのマーケティング)の仕事に転じ、大活躍している社員がいます。60歳になってから始めた仕事ですが、クラウドを活用し、完全リモートワークで働いています。年齢にかかわらず、人材価値の向上を図るうえでは、個人の努力も必要ですし、会社にはそれを支援する制度が必要です。何歳になっても仕事ができて、自身の成長を含めて学べる場を提供することで、定年という概念を払拭し、年齢に関係なく人材を抜擢していくことが、大切なのではないかと思っています。当社はこの約3年間「Work Styした。「かっこよく、働こう。」をキーテーマに、働き方の多様性を大切にしています。会社は多様な働き方を提供し、働くスタイルを決めるのは社員です。結果を出すための最適な方法を追求するために、時間や場所に制約された働き方からの解放を求めました。プの総労働時間の約3割がリモートワークになっています。また、コアタイムのないスーパーフレックスタイムを導入しました。それから、社外はもちろん、社内の副業制度もつくりました。さらに、グループ内で転職することも可能です。のキャリアの希望を登録し、会社側がオファーする「ScoutU」というグループ内スカウト制度を設けました。また、各会社・各部門からの公募に対し社員が手を上げ、選考を経て配置される「WantU」制度、グループ内でジョブローテーションを行う「Try制度もあります。最適活用して生産性を上げ、一人ひとりの人材価値もさらに上げていきたいと思います。on」を掲げ、働き方改革に取り組んできまnnovaフルリモートワークも可能で、現在、全グルーキャリア支援制度としては、社員自らが自身こうした取組みを推進して、人材を最大活用、U」結果を出すための最適な方法を追求し時間や場所に制約されない働き方を実現2023.326※ パーソル総合研究所・中央大学「労働市場の未来推計2030」(2018年)

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