エルダー2023年3月号
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ついては、いわゆる人材の陳腐化を自発的に防ぐ、そのための維持の努力ができるかどうかが、シニアでも活躍できる人材の条件になるのではないかと思います。倉重 高齢法では、70歳までの就業機会の確保の選択肢の一つとして、業務委託も可能になりました。今後、業務委託も検討しますか。佐藤 多様な働き方の一つとして、また、外部の動きなども見ながら可能性としてはあると思っています。住谷 会社とそこで働く人の新しい関係というものを、試行しているところです。内田 高齢者雇用を推進した結果、想定していなかった〝思わぬ効果〟などがあれば教えてください。佐藤 無期限の継続雇用制度を開始した2021年4月から、社員に対する明確なメッセージを発信したことにより、これまでなんとなく60歳を迎えていた社員のなかに「これからのことについて考えなくてはいけない」と思うようになった人が増えたと感じています。60歳定年前の社員にヒアリングをすると、今回の新たな制度によって働く選択肢が増えたことについて、「とてもありがたい」という声を聞きます。ですから、この制度をつくってメッセージを発信したことで、社員にその先の働き方を選択できるという意識が芽生えたという変化があったのだと思います。内田 そういう効果が、これからじわじわと効いてくるのかもしれませんね。住谷さんはいかがでしょうか。住谷 当社の事例発表で、60歳になってジョブチェンジをして、インサイドセールスを完全リモートワークで行っている社員の例をお話ししました。実は、リモートワークは大阪で行っています。大阪にいるリモートワークのシニア社員がリードを取って、それをクロージングする業務をペアで行っていますが、ペアの社員は東京にいて、20代半ばの女性社員です。親子以上に年が離れているうえ、東京と大阪という距離もあるのですが、オンラインで2人がつながって成果を出し続けています。非常によい化学反応だと感じています。にとらわれず、その人の意欲、そして、できることに応じたかたちで仕事をしてもらっているということで起きた化学変化です。そうしたものがグループ社内に芽生えてきていることが、すごくよかったと思っています。内田 としている企業に、メッセージをお願いします。佐藤 進め方があると思います。いろいろな事例が出てくると、コピペをするように「真似して制度を導入しました」などとやってしまいがちです。しかし、それではやはりうまくいかないとこうしたことができるのは、年齢や性別など最後に、これから高齢者雇用を進めよう会社の風土や歴史、業態・業種に応じた高齢者雇用を推進したことによる思わぬ効果についてトライ&エラーをくり返し各社オリジナルの高齢者雇用を特集生涯現役社会の実現に向けたシンポジウム〈東京会場〉31エルダー特定非営利活動法人日本人材マネジメント協会理事、弁護士の倉重公太朗氏

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