エルダー2023年3月号
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米哲学の実行商人 〝おこもり暮らし〟はぼくに〝温■故■知■新■〟(古きをたずねて新しきを知る)の古語を思い出させました。新しい流行を追うのも大事でしょうが、古い過去のなかにも見落とした宝石の原石がいくつもあります。今回はそんな話を書かせていただきます。江戸時代後期の天■保■ごろ、京都かれは次のような〝米哲学〟を持っていました。・米は人間を養ってくれる大事な作物だ・それだけでなく天下(日本国)を養う大事な財源(年貢)にもなっている・米は中身だけでなく、中身を守るワラも、ワラジやタワラに者■(幸福な人間)だなって、人間の暮らしを助けてくれる・だから米は天の与えてくれた宝物だ・それを売って暮らす自分は冥■加■・だから米の値は常に公正にしなければならないというものです。京都は花街の多い所ですが、儀兵衛は仲間とそういう場所に出入りすることもなく、米を尊んでいました。妻も娘の秀もそういう儀兵衛を尊敬し、家族はうまくまとまっていました。そんな儀兵衛が、「娘のムコにほしいな」とネライをつけていた若者がい■ ■■■■■ ■■  ■■ ■ました。三条大橋脇の「角■田■」という呉服屋で働いている鉄■次■郎■というでっち(小僧。店員の最下位)です。■■烏■丸■※1でお米屋さんを営む高■島■屋■儀■兵■衛■※2という人物がいました。■■2023.334※1  烏丸……現在は「からすま」※2 高島屋儀兵衛……「高島屋」は屋号で本名は「飯田」儀兵衛[第124回]

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