エルダー2023年3月号
4/68

特定の専門領域を除き、依然として厳しいミドル・シニアの転職事情黒田 私は株式会社リクルートに入社以降、長年、転職メディアにたずさわってきました。企業の募集ニーズは20代から35歳ぐらいまでが圧倒的に多いのが現状です。求人数は35歳を超えると半減し、40歳でさらに半減、45歳でまた半減するなど、5年ごとに半減期が訪れ、50歳以上は極端に少なくなります。リクルートの転職サイトの責任者として求職者の集客を担当しましたが、毎週、新規登録いただく数多くの求職者のうち6割を占める35歳以上の求職者に対して、マッチングできる求人が非常に少ない状態が続いていました。もちろん35歳以上の求職者のなかには、有能な人もたくさんいます。この世代の方々が企業から必要とされる機会を増やし、適材適所の転職を増やしていきたいと思い、リクルートを退職し、2014(平成26)年に、ミドル・シニア世代専門の転職エージェントを立ち上げました。35歳以上の就職支援サイトをつくり、登録者の匿名の職務経歴を、人材募集をしていない企業の経営者に見てもらう仕組みで、転職支援を行っています。少子高齢化による労働力不足が顕在化するなかで、外国人や女性にかぎらず、ミドル・シニアをいかに活用していくかが、今般の非常に重要なテーマであると考えています。黒田 続き、求人自体は右肩上がりで増え続けています。その流れでミドルの求人も増えてきていると思います。ただし、若手と比較すると厳しさはいまも変わりません。長期勤務によるキャリア形成や技能・ノウハウの継承といった観点から、依然として若手へのニーズリーマンショック以降、労働力不足がが高いのが現状です。しかも増えている求人には時給制のアルバイトも含まれますし、転職の難易度は変わっていません。もちろん年齢に関係のない職種もあります。例えばAIや半導体などの技術者、医薬品の開発研究者、一級建築士や施工管理技士、あるいは国際法務に長けている人など、人材が足りない職種は引っ張りだこです。しかし営業職や事務職経験の求職者が圧倒的に多く、そうした一部の特殊な領域を除くと、ミドル・シニアの需要は少ないのが現実です。黒田 集に応募して退職した人たちです。あるいは倒産やM&Aによる事業再編で会社を辞めざるを得なくなった人もいます。その背景には製造業からサービス業、情報産業へと産業構造の地殻変動が激しくなるなかで、これまでの経験やスキルの需要が徐々に減り、企業は中高年の人材を減らして若手を採用したいと考えるようになっていることもあります。黒田 失業期間が1年、2年と長引くケースも少なこの5〜10年で多いのは早期退職者募年収など希望する条件が折り合わずに―黒田さんは、ミドル・シニア世代に特化した転職支援に取り組まれています。若手ではなく、ミドル・シニアの支援をしようと思ったきっかけは何でしょうか。―近年は40代以上の転職も増えているといわれていますが、実際はいかがでしょうか。たちはどういう人が多いのでしょうか。―それでも転職したいと思う40代以上の人―当然、転職活動も厳しくなりますね。2023.32ルーセントドアーズ株式会社 代表取締役黒田真行さん 

元のページ  ../index.html#4

このブックを見る