エルダー2023年3月号
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考えています」と語ります。「高齢者雇用の制度整備に積極的な企業」と髙橋プランナーが評する株式会社ニシエフ。2022年1月に、定年を63歳から65歳、再雇用制度を「希望者全員66歳まで」から「希望者全員70歳まで」に、それぞれ上限年齢を引き上げました。今回の制度改定は2021年7月に髙橋プランナーが訪問し提案した「65歳への定年引上げと70歳までの基準該当者への継続雇用制度の導入」という内容に沿った形で、かつそれを上回る改善でした。髙橋プランナーは同社への提案について次のようにふり返ります。「綿谷社長をはじめとする経営陣は、何ごとに対しても前向きに取り組もうという姿勢がうかがえましたので、今後のアクションを起こすきっかけづくりとして、制度改善(定年延長と継続雇用延長)の提案を行いました。さらには、管理者層の意識改革や対応力強化など、職場管理者の育成が必要との問題意識をお持ちであったことから、当機構の就業意識向上研修のメニューの一つである『生涯現役職場管理者研修(基礎編)』の実施を提案しました」こうして、会社の高齢者雇用に対する姿勢とプランナーの提案がうまく合致し、制度改善と研修の実施がスピーディーに行われたようです。今回は、ニシエフを長年支え、定年後も重要な役割をにない活躍しているお2人にお話を聞きました。技術部に所属する勤続42年目の松■山■康■司■郎■さん(70歳)は、同社に入社する以前は、総合重工業メーカーの造船部門で大型船舶の修理にたずさわり、1級小型造船技術者資格を所持する造船のプロフェッショナルです。ニシエフでは技術部長を経て、定年後も引き続き設計業務を担当しています。設計のデジタル化にともなって、60歳を過ぎてからCAD※3のスキルを習得したという松山さん。「CADは描き直しができるところがいいですね。営業担当とのやりとりがしやすく、コロナ禍で打合せができないときも、リモートワークでの図面のやりとりが容易でした」と話します。綿谷社長は、「松山さんは主要構造部の計算がだれよりも速く、計算のノウハウを若手に教えてほしいと思っています。気さくな人柄から顧客との打合せもスムーズで、話も盛り上がります」と信頼を寄せています。松山さんが造船の設計において特に大事にしているのが、顧客である船主との打合せです。「以前の会社では打合せに参加していなかったので、船主の要望がくみとれず、設計するにもやる気が出なかったものです。ここでは打合せに直に参加できるようにしてもらい、船主のつくりたい船の詳細を聞きとりながら、製造現場についてや図面だけでは伝わりづらいことが伝えやすくなり、スムーズにやりとりができるようになりました。ポイントは早め早めに船主に確認をしていくことです」(松山さん)顧客を大切にする松山さんの姿勢は、社内外から高く評価されており、「船の場合、営業はもとよりできあがった船の実績が重要です。『この船はだれがつくったのか』と折に触れて聞かれ、技■■■■プランナーの提案により制度改定と研修を実施定年後も会社で存在感を放つベテラン2023.338CADを使って船舶の設計をする松山康司郎さん※3  CAD……コンピューターによる設計支援ツール

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