エルダー2023年3月号
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関連会社も含めて40年にわたり、多くの銀行業務を経験してきた原島さん。いまは、店頭でお客さまに向き合う日々だが、すべての経験は接客の心につながっている。家電専門店ノジマは自社の社員のみが店頭に立つことで知られている。社員を大切にする風土が、再雇用の年齢制限を事実上撤廃し、シニア人材の活躍に結実している。出会いとは不思議なもの働く喜びを胸に当、41歳のときに初めて支店長になりました。いくつかの支店で支店長を務めた後、合併を機に52歳でグループ会社に配属されました。が、本社が信州にあったため、長い単身赴任生活が始まりました。工作機メーカーは好景気には飛ぶ鳥を落とす勢いでしたが、リーマンショックの影響で、ここでも合併を経験しました。合併後のグループに監査役として残り、66歳で退職。忘れられないのは工作機メーカーの福島工場にいたときの東日本大震災です。身じろぎできないほどの恐怖をいまも覚えています。勤や単身赴任が多くて苦労をかけた妻をねぎらいたく、今後は2人で、海外や国内を旅しようと考えていたところコロナ禍に…。企業の合併もそうですが、世の中というものは思うようにならないものです。旅行三昧の余生を妻と送るつもりが、海外はもちろん国内も自由に旅することが制限される時代を迎えました。鬱々として近所のスポーツクラブに通っていましたが、次第に飽きてきました。もう一度働きたいけれど、シニアが働く場所など容易に見つからないだろうなとあきらめていた矢先、たまたま観ていたテレビで家電専門店のノジマでは、多くの高齢者が活躍しているということを知りました。半信半疑で電話してみると「現在も募集中です」といわれ、さっそく応募しました。ノジマには家電をはじめ、通信など四つの部門がありますが、パソコン好きの私は幸いにも情報部門に採用してもらうことができました。2021(令和3)年11月に入社し、1年と少しを経ただけの新米ですが、毎日いろいろなお客さまに出会えることは幸せです。思えば銀行業務の原点は接客ですから本来の場所に帰ってきたような気がしています。私たちシニアをノジマでは「シニアパートナー」と呼んでいます。その働き方は多様で勤務時間もいろいろと考慮してもらえます。私は月・水・金曜日の週3日間、一日7時間の勤務です。始業は10時、終業は18時ですが、中途半端な接客はできませんから残業になることも多いです。正社員をはじめ、学生アルバイトや主婦のパート社員さんなど、若いスタッフが多いので現場は常に活気があり、楽しい毎日です。孫ぐらいの年齢の人と話す機会も多く、気分も若返ります。都心から少し離れていることから、地元で家電を求めようという高齢層のお客さまが多いのが特徴といえます。同年代の私になら初歩的な質問もしやすいのではないでしょうか。少しでも会社の役に立てるならこんなに嬉しいことはありません。んいると思います。ただ、なかなか生きがいを見出せる職場に出会うことがむずかしく、あきらめてしまうケースが多いように思います。テレビや新聞などでもよいので、情報をキャッチするアンテナを広げていけば、高齢者の活用に積極的な会社と出会えると私は思います。クラブで鍛えながら、腰痛の悪化に気をつけて、明日からも笑顔でノジマの店頭に立ち続けます。一方、私が働くマルイファミリー志木店は、定年後も働きたいと考えるシニアはたくさ恵まれたこの出会いを大切にし、スポーツ41エルダー高齢者に聞く66歳でいわゆる悠々自適の日々を迎え、転54歳で工作機のメーカーに異動になりました

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