エルダー2023年3月号
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ます。立場や環境の変化によって苦手、未経験の仕事を担当することになり、不安心理が増幅しているケースです(図表1)。これは高齢社員にとっても同様で、先述のような状況下では自信を喪失しているため、自信がないという高齢社員も意外と多いようです。この背景の多くは「思考過多(考えてばかりで、行動しない)」によるもので、結果として活動量が減少している状態が考えられます。自信を得るには、周囲からの励ましや賞賛なども効果的なのですが、もっとも有効なのは自分自身が行動を起こすことで経験し、手応えをつかむことです。それがチャレンジ意欲をかき立て、次の一歩につながっていきます。高齢社員にも新たな教育を施すことで自信を与え、「自分もまだまだやれる!」という自己肯定感の醸成をうながすこともポイントでしょう。3前組織・部門の課題共有化回、ポストオフによって役職が外れ、立場が変わり、孤立した状況に陥ることがあることに触れました。それによって、自分自身の目標・ゴールを見失っていることになっている高齢社員がいます。また高齢社員の上司も、高齢社員の役割が変化することによって、期待事項が不明瞭になり、その状態が放置されてしまうことが少なくありません。まずは状況変化に応じてあらためてしっかりと今後の目標をすり合わせ、それを共有しながら「再スタート」することが重要です。小さな話を通じて頻繁に共有状態を確認することがあげられます。一定スパンを空け、時折り多くを語り合うこともありますが、高齢社員にはむしろこまめに声をかけ、ズレが生じていないかをチェックすると同時に、向かうべき方向性をくり返し分かち合い、認識強化につなげることが有効です。ての期待を言葉で伝えることも効果的でしょう。人は、相手が自分に対して抱いている期待を感じることによって、成果が上向きに変わるといわれています。この期待感を持って指導・教育することで物事が前進し、成果につながる現象を「ピグマリオン効果」といいます。逆に、「ゴーレム効果」という、期待感を持たずに接することでパフォーマンスが下がる現象があることも知られています。例えば「立場は変わっても、これからも一緒に目標に向かって進んでいただきたい。そのなかここでのポイントは、再スタートをした後も、またゴールを共有していくなかで、上司とし第一線から外れ、疎外感を持つ高齢社員に、43エルダー高齢社員活躍のキーマン図表1 立場の変化による不安心理失敗したら格好悪い…ついていけない“お荷物”…今から成長を求められても…フェイドアウトしようか…元部下には聞きにくい…気力・体力に自信がなくなってきた…何をやっても誉められない…資料提供:株式会社新経営サービス管理職支援をはじめよう!管理職支援はじめよう!

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