エルダー2023年3月号
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で〇〇をになっていただき、ともに成果を出したい」と、年下上司としても素直な思いを明確に伝えるようなイメージです。これによって、人間が保有する「(期待に応えようという)貢献欲求」が満たされ、高齢社員が一歩踏み出そうという心境を導きやすくなります。4こ協働力の強化の数年は新型コロナウイルス感染症の影響もあり、多くの組織で上司・部下間のコミュニケーションが総じて不足しているといわれています。言葉を交わしたとしても業務上の必要な連絡事項のやり取り程度で、十分に時間をかけての意思疎通が図りにくい状況になっています。またコミュニケーション機会として面談の場を設けたとしても、多忙ななかで時間をかけた話ができないといったケースも散見しています。このような状況が発生することによって、若手・中堅社員のみならず高齢社員のモチベーション・ダウンも誘発してしまい、双方の良好な関係構築が困難になっています。このような状況を好転させ、年下上司と高齢社員がともに協力体制を構築する、いわゆる協働力の発揮を目ざしたいものです。先述した課題共有化を進めるうえでも、協働力を強化するにはコミュニケーション量を一定量以上に保つことが必須事項であるといえます。昨今、広く取り入れられている1on1ミーティングは、相互理解を深め、チーム形成するには効果的な手法ですので、おすすめの活用法です(「1on1ミーティング」については、次回に詳細をご紹介します)。 そしてコミュニケーションを図るなかでのポイントに、「承認」の言葉を投げかけることがあげられます。人は、否定されるよりは肯定される方が好ましく感じるもので、これは高齢社員にとっても同様で、承認されることはプラスに作用するでしょう。また、人は自分を承認してくれる人に対しては、自分も相手の美点・長所を探し、承認行為を返そうとするものです(これを「返報性の法則」と呼びます)。このような作用が働くことで、両者の関係性が良好になり、仲間(パートナー)として働く協働体制が構築しやすくなります。異なる切り口として、協働力の強化には、年下上司からの「依頼」も有効な手段でしょう。依頼というのは単純にいえば仕事を頼むことですが、依頼されることによって頼られている、(よい意味で)責任を与えられている、という心理を生みやすく、これが動機づけにつ2023.344

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