エルダー2023年3月号
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ながることもあります。協働力の強化に、意外と効果的な観点であるといえるでしょう。5長ノウハウの共有化年にわたり努力や実績を重ねてきた高齢社員たちは、豊富な経験を有しています。ただ多くの組織において、それらが有効活用されていないケースも見受けられます。このマイナス点を解消することが必要です。そのための着眼点として、以下の3点をマネジメントすることがポイントと考えられます。①スキル・ノウハウの見える化後輩世代に向けて、高齢社員が保有する知識や技術の伝承が求められます。そのために、まず高齢社員自身が保有している知識やノウハウ、経験値などを確認し、いわゆる「棚卸し」をします。そして、それらをどのような場面で、どのような活用方法によって活かすことができるかという具体的な方法を考えます。それらを一覧表に落とし込んでいきます。時の流れとともに、なかには陳腐化している内容もあるでしょうが、エッセンスとして活かせることも多くあります。ていねいに作業を進め、正しく「伝えて」、「残す」ようにします。そのなかで自由闊■達■な意見交換ができる関係をつくる意識を高めます。それによって、高齢社員のスキル・ノウハウが活かせるようになってきます。③異なる価値観・多様性の受容る際に、年長者である高齢社員から後輩世代に対して「自分たちのころは…」といった言葉を発してしまうことがあります。しかし、後輩世代は異なる時代背景のもとで成長してきたため、考え方が違って当然です。エジプトのピラミッドには「いまどきの若い者は…」という言葉が彫られているそうですが、大昔から年長者は若者を受け入れがたく感じる傾向にあるようです。相手を理解し、相手に合わせることも時に必要と考え、柔軟な姿勢を示すことが重要でしょう。が保有しているこれまでの思考、感情のみにとらわれず、積極的に状況に合わせて変化することが肝要です。「マインドセット(自分に習慣として根づいている物の見方や考え方)」という言葉がありますが、これを場面に合わせて適応させていくことが求められます。高齢社員のマインドセットの進化を図り続けるサポートも、年下上司の役割として認識しておくべきでしょう(図表2)。上記②に関連して、コミュニケーションを図ノウハウの共有化を進めるために、高齢社員②周囲との〝いえる〟〝聴ける〟関係づくり伝えるべき内容を整理したうえで、伝えるべき後輩世代との関係を良好にすることも念頭に置きます。ここでもカギを握るのは周囲とのコミュニケーションの量・質でしょう。もちろん、関係性が悪いということではないでしょうが、一方ではお互いに遠慮が先行してしまい、本音では口にしたいことでも伝えきれないことがあります。逆に、充分な聴き取りが不足していることで相互理解がなされていない場合もあり、固定観念や思い込みが働く、また相手の意図が正確につかめないケースもあります。この点の解消に、ここでもやはり対話の頻度を増やし、■■45エルダー高齢社員活躍のキーマン図表2 マインドセット進化シニア人材のマインドセット進化周囲とのいえる・聴ける関係づくりノウハウの見える化異なる価値観・多様性の受容資料提供:株式会社新経営サービス管理職支援をはじめよう!管理職支援はじめよう!

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